Possibility of Evaluating Taste Preference by Near-Infrared Spectroscopy
近赤外分光法を用いた味嗜好評価の可能性

Hirotoshi ASANO, Hideto IDE
2012 Biomechanisms  
10 ) 近赤外分光法を用いた味嗜好評価の可能性 浅野裕俊 1 ,井出英人 1 1 青山学院大学 要旨 食品業界では消費者の味嗜好に関する研究が行われている.一般的な官能評価は消費者の 期待する味を表現する上で重要であるが主観評価である.また,味覚センサも主に食品特性に限 定されており,客観評価には至っていない.そこで,本研究では近赤外分光法を用いて味嗜好を 評価した.本手法を用いた味嗜好の評価例は殆ど報告されていないことから,客観評価の可能性 について検討した.具体的には,喉の渇きの違いによる生理的欲求の違いが客観評価に与える影 響について検討した.実験の結果,前頭葉の脳活動と味嗜好との間に関係性があることがわかっ た.また,重回帰分析法を用いることで心理的嗜好を酸素化ヘモグロビン濃度から推定するモデ ルを構築し,真値と推定値との関係性について検討した.その結果,高程度の正相関が得られ, 生理特性の違いにかかわらず,本手法が味嗜好を客観評価するための手段として有効であること が示された. キーワード:近赤外分光法,味嗜好,客観評価,重回帰分析法 1 .はじめに
more » ... に対する味嗜好の研究が 盛んである.嗜好検査はマーケティングを行う上で 重要な課題であり,消費者の好む味・期待する味を 表現する上で不可欠である.人の嗜好は味や食感の ような食品特性の他に体調や気分などの生理心理状 態や情報・文化などの知識・経験にも影響を受ける. そのため,一般的な嗜好の評価として官能評価が広 く利用されている.しかしながら,官能評価は食品 の特性を主観的に評価できる半面,個人差による影 響が大きく,再現性も低いことから,消費者の嗜好 性を客観評価するための新しい手法の開発が課題と なっている 1,2) . 一方,近年の非侵襲脳活動計測技術の発展により, 様々な状況下における脳活動状態が明らかになって きている.脳の情報処理において神経活動が担う情 報伝達系と神経活動を支えるエネルギー供給系が関 係していると考えられている 3) .神経活動が起こる とその周囲にある血管は拡張し,エネルギー源とな る酸素やグルコースを含む多くの動脈血を供給する 調整機構が働く.そして,活動神経近傍の組織では, 血流量・血液量が増大し,血液中の酸素化ヘモグロ ビン濃度(以下,oxyHb と記す)と脱酸素化ヘモ グロビン濃度(以下,deoxyHb と記す)の比率が 変化するとされている 4) .近赤外分光法(Near-Infrared Spectroscopy:以下,NIRS と記す)はこ の仮定に基づき脳血液中の上記 2 種類の局所ヘモグ ロビン濃度を計測している.ヘモグロビン濃度の変 化は実際に情報を処理している神経活動そのものの 表れではないが間接的な脳機能の指標となりうる 5) .
doi:10.3951/biomechanisms.21.113 fatcat:yv75m4bu3bhdrhmzqh34j55w2y