III-2. Recruitment patterns of larvae and juveniles of coral reef fishes in coral lagoon of Okinawa Island
III-2. サンゴ礁池における仔稚魚の加入機構

TAIKI ISHIHARA
2015 Nippon Suisan Gakkaishi  
サンゴ礁池にいつどのようなサンゴ礁性魚類の仔稚魚 が加入しているかについては,生息している種の多様性 に反して情報が少ない。また,効率的に分散する唯一の 機会である浮遊期の長さについても知見はほとんどみら れない。本発表では,沖縄島のサンゴ礁池で仔稚魚を網 羅的に採集し,出現量の季節変化と耳石日輪数から推定 した日齢から,仔稚魚のサンゴ礁池への加入様式につい て考察した。 仔稚魚の採集 仔稚魚の採集は,沖縄島南部の大度海岸と中西部の残 波海岸で行った。大度海岸ではサンゴ礁池内外をつなぐ 水路および礁池内の海草藻場でそれぞれ稚魚ネットと小 型曳網を用い,残波海岸では礁池内の岩礁域で小型曳網 を用い,加入してくる仔稚魚を毎月 1 回から 2 回夜間 に採集した。採集された仔稚魚のうち,ニシン科キビナ ゴ属,テンジクダイ科,ハタンポ科,ベラ科,ブダイ 科,ヘビギンポ科,ハゼ亜目の着底前後の稚魚について は耳石日輪数から日齢を推定し,その日数を浮遊期とし た。 出現した仔稚魚の個体数と出現時期 大度海岸の水路では 39 科 200 分類群以上,大度海岸 の礁池内では 20 科 82
more » ... の礁池内では 20 科 82 分類群以上,残波海岸の礁池内 では 14 科 65 分類群以上の仔稚魚が採集された。優占 した分類群は,ニシン科,ハゼ科,シラスウオ科,ヨウ ジウオ科,ハタンポ科,テンジクダイ科,トウゴロウイ ワシ科であった。主要な分類群の出現時期は,ニシン科 キビナゴ属キビナゴとリュウキュウキビナゴおよびシラ スウオ科魚類は周年,キビナゴ属ミナミキビナゴは春と 秋,ハゼ科およびテンジクダイ科魚類は春と秋または春 のみ,ヨウジウオ科およびハタンポ科魚類は春のみ,ト ウゴロウイワシ科魚類は冬から春であった。 仔稚魚のサンゴ礁地への加入 出現体長と日齢から,仔稚魚のサンゴ礁池への加入様 式を以下の 6 タイプに分類した。タイプ 1サンゴ礁池 内の波打ち際や海草藻場には出現せず,サンゴ礁池内外 を行き来しながら成長するキビナゴ,リュウキュウキ ビナゴ,シラスウオ科魚類。タイプ 2砂浜海岸にも多 く出現し,砕波帯としてサンゴ礁池内浅海域を利用す るミナミキビナゴ,トウゴロウイワシ科魚類。タイプ 3浮遊期を経てサンゴ礁池内に入り,着底成長した 後,礁池外へ移動するミナミハタンポ。タイプ 4浮 遊期を経てサンゴ礁池内で着底し,その後はサンゴ礁池 内で生息する。タイプ 4 は,浮遊期の長さによってさ らに 2 つに分類した。タイプ 4 1浮遊期が 4 週間以 5浮遊期を経て未 成魚直前でサンゴ礁池内に入り,速やかに着底するヨ ウジウオ科,ハタ科,ニザダイ科,チョウチョウウオ科 魚類。タイプ 6)外洋性の魚類や,淡水域に加入するは ずの仔稚魚が迷入したもの。 採集された仔稚魚の分散能力 採集された多くの分類群は,タイプ 4 1 に含まれ, これらの仔稚魚の浮遊期は約 1 ヵ月程度であり他の海 域の魚類に比べて長期の浮遊期を持っているわけではな かった。また,タイプ 1, 2 および 3 についても浮遊期 は 1 ヵ月以内と考えられた。このことから,今回採集 された仔稚魚の多くについて,分散能力は特別に高いも のではなく, 1) 沖縄島周辺に生息するサンゴ礁性魚類に は,仔稚魚を生まれたサンゴ礁池周辺に滞留させ,親の 生息地近くに加入させることで個体群を維持している分 類群が多く存在すると考えられた。 文 献 1) Ishihara T, Tachihara K. Pelagic larval duration and settlement size of Apogonidae, Labridae, Scaridae, and Tripterygiidae species in a coral lagoon of Okinawa Island, southern Japan. Pac. Sci. 2011; 65: 87 93.
doi:10.2331/suisan.81.481 fatcat:p5l4kpymrrdp3orzv7kcghhm5m