Touch Panel Surface Modification Technology for Smart Device
タッチパネル用ガラスの表面改質

Kaori OZAWA
2013 Journal of The Surface Finishing Society of Japan  
.はじめに スマートフォンの登場を機に,ここ数年でタッチパネルを 搭載した情報端末は急速に普及している。タッチパネルは直 接指で触れて操作することから,その表面には,指紋汚れに 代表される防汚性が要求される。さらに,最近では,多点検 出式パネルの割合が増加し,タブレット PC やウルトラブッ ク等,大型パネル端末の需要も拡大していることから,操作 性向上のための表面滑り性に対する要求も顕在化している。 これらの要求特性に対し,光学特性を損なわない方法での タッチパネルの表面改質が求められている。 現在,タッチパネルのカバー材料には,ガラスや樹脂が使 われているが,表面硬度や光学特性 (透明性) の観点から,ガ ラスが多く使われている。 本稿では,タッチパネル向けガラスの表面改質として,耐 指紋性や表面滑り性に効果的なフッ素化合物の技術に関して 述べる。 2 .耐指紋性とは 2.1 耐指紋評価 指紋とは,汗腺や皮脂腺から分泌される人由来成分だけで なく,手を介して付着した様々な生活汚れも反映されること から,非常に複雑な組成である。また,個人差,体調差,生
more » ... 調差,生 活習慣などの影響も大きく受け,指紋の付着量や見え方も 様々である。耐指紋性の定量評価を目的とし,実指紋に代わ る人工指紋液の検討や,目視と相関が取れる評価方法の検討 など盛んに行われているが,規格化には至っておらず,最終 的な判断は,実指紋を用いた官能評価に頼っているのが現状 である。 2.2 耐指紋アプローチ 耐指紋のアプローチは,指紋の付着量を低減させる表面撥 油化,付着した指紋をなじませ目立ちにくくする表面親油化 が主流である。前者にはフッ素化合物が,後者にはシリコー ンあるいは炭化水素化合物が使われている。各々の技術で改 質された表面の特徴を表 1 に示す。 撥油表面は,指紋が付着しにくく拭き取り易いが,付着し た指紋は白浮き目立ち易い。但し,繰り返し触ることによる 指紋の堆積は少なく, 付着した指紋の拭き取り性が良い。 従っ て,実使用下における耐指紋性は良好である。一方で,親油 表面は油馴染みが良好であり,初期,あるいは触る頻度が少 ない条件下では指紋は目立ちにくい。しかし,繰り返し触る ことで指紋はどんどん堆積し,拭き取りの際には,汚れを拭 き伸ばすという現象が起こる。そのため,実使用下では,拭 き取りむらによるぎらつきや曇りが目立ってしまう。 市販の撥油材料と親油材料の,実指紋による評価結果を 表 2 に示す。実使用を想定し,指紋を繰り返し付着し,拭き 取り性を評価した。拭き取り性は,分光測色計による明度差 (ΔL) で表し,ΔL が大きいほど,指紋の拭き残りが多いこと を示す。 上記結果は,触る頻度が高くディスプレイ機能も兼ねる タッチパネルへの耐指紋付与には,表面撥油化が有効である ことを示している。 タッチパネル用ガラスの表面改質 小 澤 香 織 a a ダイキン工業㈱ 化学事業部 (〒 566-8585 大阪府摂津市西一津屋 1-1)
doi:10.4139/sfj.64.444 fatcat:xnddajpp6fhjpnfmlal4onygk4