Study on Spectral Control of Emittance of Rare-earth Oxide Film
希土類酸化膜における放射率の制御に関する研究

Tomoyuki Kumano, Katsunori Hanamura
2009 Netsu Bussei  
本研究では、Er を含む酸化膜をアルミナ表面にコートした場合のスペクトル放射率を1次元平板モ デルにおける数値解析によって求め、熱光起電力(TPV)発電用エミッターとしての最適な膜厚につい て検討した。 その結果、 厚み 1mm の基板について、 膜厚の増加にともなって TPV 発電に有効な 1.5µm 付近の放射率が上昇し、膜厚が 0.2mm の時にほぼ最大値に近づくことが明らかとなった。 A spectral emittance of a ceramic plate coated with a rare-earth oxide thin film was investigated through one dimensional radiative transfer analysis. The emittance in the absorption bands around 1µm and 1.5µm increases with the film thickness, and then, approaching to the almost maximum value under
more » ... he conditions of a 0.2mm film thickness and a 1mm substrate thickness. [Keywords: spectral emittance, rare-earth oxide thin film, selective emitter] l.緒言 熱光起電力(TPV)発電システムの高効率化には、 発電に有用な近赤外領域のふく射を選択的に放射す るエミッターの開発が不可欠である[1, 2]。このため、 種々様々な波長選択エミッターが検討されており、 そのうちの1つに希土類元素特有の放射スペクトル 特性を利用した希土類酸化物エミッターがある[3-5]。 希土類酸化物は機械的強度に乏しいことから、この 種のエミッターは基板表面に 0.05~0.4mm 程度の希 土類酸化膜をコートした構造を有する[6]。したがっ て、このエミッターの放射特性は、膜のみならず基 板材料の光学特性にも依存する。この点について、 従来の研究では、基板は金属もしくは光学的に十分 厚い不透過性材料であり、薄いセラミックスのよう な透過性、散乱性を有する材料は想定されていなか った[7, 8]。 一方、空隙率が高いスポンジ状のセラミック多孔 質体は、燃焼ガスの有するエンタルピを効果的にふ く射エネルギーに変換するふく射変換体であり、著 者らによって熱光起電力発電用エミッターへの応用 が検討されている[9]。さらに著者らは、発電素子 (TPV セル)の外部量子効率が特定波長においてピ ークを持つことに注目し、対応する放射ピークを持 つ希土類酸化膜を多孔質体表面にコートすることで、 TPV システムの高効率化に繋がると考えている[10]。 ここで、多孔質体表面へのコートについては、多孔 質体端面に位置する構成部材の表面に、部材間の隙 間を塞がない様にコートすることを想定している。 本稿では、多孔質体を構成する厚み 1mm 程度の 部材表面に形成された希土類酸化膜のふく射特性を 明らかにすることを目的として、部材をアルミナ平 板と仮定した系における1次元理論解析を行った。 2.理論解析 ここでは、多結晶アルミナ基板の片面に希土類酸 化膜をコートしたエミッターの場合を例に述べる。 2.1 解析モデル 1 次元ふく射伝熱解析モデルを図1に示す。エミ ッターの周囲は温度 T g の高温ガスが流動し、基板に は強制対流伝熱により熱供給されるものとする。こ こで、基板および膜表面は滑らかであるとし、基板 と膜の接触抵抗はないものとする。また、高温ガス は非ふく射性媒体とし、ふく射の周囲境界条件とし て図中に示すように 300K の黒体を想定している。 本研究では、近赤外域に活性な希土類酸化膜とし * 神戸市立工業高等専門学校機械工学科、〒651-2194 神戸市西区学園東町 8-3.
doi:10.2963/jjtp.23.105 fatcat:pd4w23hdrbekvdtyhf7jt4rzs4