Determinants of Discharge Destinations of Cerebrovascular Disease Patients in a Convalescent Rehabilitation Ward: Analysis using ADL Assessment Scale
回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患患者の退院先を決定する要因

Miho Ohmori, Yoko Emori, Kikue Hidaka
2010 An Official Journal of the Japan Primary Care Association  
大森美保,江守陽子,日高紀久江 筑波大学大学院人間総合科学研究科 著者連絡先 大森 美保(おおもり みほ) 筑波大学大学院人間総合科学研究科 (〒 305-8575 茨城県つくば市天王台 1-1-1 共同利用棟 B110 e-mail: mh73.omr@coast.ocn.ne.jp) 受付日:2010 年 1 月 6 日,受理:2010 年 6 月 9 日 緒言 わが国では老人医療費の削減と高齢者の自立を支える 目的で 2000 年に介護保険制度が導入された.同年の 医療制度改革としては,急性期病院の在院日数の短縮 と高齢者の自立を支援するための回復期リハビリテー ション病棟(以下,回復期リハビリ病棟)が新設され た 1) .平成 12 年の介護サービス世帯調査 2) によると, 介護認定を受けるに至った原因疾患のうち,脳血管疾 患が 34.1%と最も多く,特に男性では 51.6%と半数以 上を占めている.一方,女性は脳血管疾患 25.2%で, 次いで痴呆(平成 12 年)が 16.6%であった.また, 年代では 75 歳以上の後期高齢者が 75%を占めていた.
more » ... 疾患後の日常生活動作 (Activities of daily living:以下 ADL)の回復と寝たきり予防は, 高齢者の自立を促すことに直結することにとどまら ず,老人医療費の削減にも寄与することから,回復期 リハビリ病棟の果たす役割は重要といえる.回復期リ 要約 【目的】 回復期リハビリ病棟において脳血管疾患患者の退院先と日常生活機能評価得点との関係を分析するととも に,自宅退院を困難にする要因を検討する. 【方法】 回復期リハビリ病棟に入院し退院した脳血管疾患患者 114 名を対象に,入・退院時の日常生活機能評価得 点を分析した. 【結果】 入院時日常生活機能評価得点が 7 点以下は全員が自宅退院となったが,8 点以上では退院時得点が 5 点以 上であり,かつ得点が高いほど自宅外退院となった.項目別得点は,退院時に「移乗」 , 「他者への意思の 伝達」で自宅群と非自宅群での差が大きく, 非自宅群で「移動方法」 , 「口腔清潔」に改善がみられなかった. 【考察】 入院時得点が 8 点以上の重症者を退院時に 4 点以下にすると,自宅退院率があがると考えられた.各項目 の改善度と退院時得点から, 自宅退院を特に困難にする日常生活機能として 「移乗」 , 「他者への意思の伝達」 , 「移動方法」 , 「口腔清潔」が考えられた. Key Words: 回復期リハビリテーション病棟,退院先,日常生活動作(ADL) ,日常生活機能評価表,脳血管疾患 〔日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010,vol.33, no. 3, p.246 -255〕 --247 回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患患者の退院先を決定する要因 ハビリ病棟においては, 2008 年度の診療報酬改定 3) で, 試行的に成果評価が導入され,在宅復帰率,重症者の 受け入れ割合と ADL の改善度が評価されることに なった.評価指標には急性期病棟で使用されている看 護必要度 B 項目が「日常生活機能評価表」として使 用された.これまでの ADL 評価は主にバーセル指数 (Barthel Index) や 機 能 的 自 立 度 評 価(Functional Independence Measure:以下 FIM) が使用されており, 日常生活機能評価表での ADL 評価の報告は少ない. また,日常生活機能評価表は回復期リハビリ病棟では それ以前は使用されることがなかったため,この評価 指標を使って退院先を決定する要因を分析した研究は ない.急性期病院で患者評価に使用されている看護必 要度(B 項目)である日常生活機能評価表で,リハビ リ後の退院先を検討することは,今後急性期から回復 期,回復期から在宅・施設などへの連携において,評 価基準が統一されるという点で意義のあるものと考え る.本研究では,日常生活機能評価表によって自宅退 院を困難にする要因と必要な看護介入について検討し た. 方法 1.対象および調査期間 2007 年 7 月から 2008 年 10 月までの期間に,A 県 B 病院の回復期リハビリ病棟に入院し退院した患者の うち,急性憎悪により同病院内の一般急性期病棟に退 院した患者を除く 191 名のうち,疾患名が運動器疾患 (75 名)と廃用症候群(2 名)であったものを除き, 脳血管疾患の 114 名を分析対象とした. 2.調査方法および内容 看護記録を含む診療記録を使用し,疾患名・既往歴・ 発症から回復期リハビリ病棟に入棟するまでの日数・ 在院日数・患者の年齢・性別・家族人数(本人を含め た人数) ・日常生活機能評価得点を調査した.また疾 患名については回復期リハビリ病棟入院対象の疾患名 に分類した. 看護記録は看護師(総数 26 名)が勤務時に,日勤・ 夜勤でそれぞれ記録し,日常生活機能評価の 13 項目 については日勤で記録し,夜勤では状態の変化があっ た場合のみ追加記録している.また退院時に担当看護 師が記載している看護サマリーから,退院先の調査を し,自宅群と非自宅群に分類した.このうち各種施設 (ケアハウス・グループホーム・老人保健施設・特別 養護老人ホーム・転院など)を全て非自宅群とした. 3.ADL 尺度と評価基準 日常生活機能評価表は, 「床上安静の指示」 , 「どち らかの手を胸元まで上げられる」 , 「寝返り」 , 「起き上 がり」 , 「座位保持」 , 「移乗」 , 「移動方法」 , 「口腔清潔」 , 「食事摂取」 , 「衣服の着脱」 , 「他者への意思の伝達」 , 「診 療・療養上の指示が通じる」 , 「危険行動」の 13 項目 からなり,項目によって 2 段階評価(0 ~1点)と 3 段階評価(0 ~ 2 点)があり,合計 0 ~ 19 点となる. 得点が低いほど患者に必要とされる看護サービスが少 なく,得点が高いほど必要な看護サービスが多いこと を示す. 各項目には,項目の定義と評価における選択肢の判 断基準,判断に際しての留意点があるため,一定の精 度を保った評価が可能である.さらに本研究において は評価者研修を修了している看護師 3 名と,その看護 師による研修を受け 100%の正答を確認した看護師が 評価していること,調査期間中に 2 回の院内研修を行 い,評価の信頼性が担保されていることを確認した. 4.分析方法 基本属性については Pearson のχ 2 検定と,正規分 布でなかったため Mann-Whitney の U 検定を実施し た.日常生活機能評価得点については,入院時・退院 時の合計得点と各項目の点数,改善度を退院先で比較 し Mann-Whitney の U 検定を行った.また退院先別 の各項目の入院時と退院時の変化の検定については, 3段階評価の項目は Wilcoxon の符号付き順位検定, 2段階評価の項目は McNemar 検定を実施した.分析 には SPSS for Windows Ver16.0 を使用し,有意水準 を5%未満とした. 5.倫理的配慮 本研究は,患者からの聞き取りなど調査者と被調査 者との間での直接の接触はなく,診療記録情報の分析 である.調査用紙には個人名は記載せず番号で処理し 個人が特定されないようにした.なお調査病院である B 病院の倫理委員会と著者が所属する研究機関の研究 倫理委員会の両方からの承認を得ている. 結果 1.対象の特性と日常生活機能評価得点 脳血管疾患の患者 114 名の平均年齢は 72.7(中央値 74.5:最小 31 ~最大 91)歳で,男性が 62 名(54.4%) , 女性 52 名(45.6%)であった.脳血管疾患の初回発 症者が 80 名(70.2%)で再発が 34 名(29.8%)だった. 発 症 か ら 入 棟 ま で の 日 数 は 28.5 日 で, 在 院 日 数 は 94.1 日だった.退院先は自宅群が 92 名(80.7%)で 非自宅群が 22 名(19.3%)であり,自宅群と非自宅 --249 回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患患者の退院先を決定する要因 家族人数は自宅群が 3.8(3.0:2 ~ 10)人,非自宅群 が 2.9(3.0:1 ~ 6)人で,自宅群の家族人数がやや 多いが,有意差はなかった(p= 0.096) .しかし図 3 に示すように,一人暮らしの人は全員が非自宅群と なっていた.一方,日常生活機能評価得点は,入院時 得点では両群の有意差は認められなかった.しかし退 院時得点は自宅群が 4.9(4.0:0 ~ 13)点,非自宅群 が 8.6(9.5:0 ~ 16)点であり,改善度においても自 宅群は 6.4(6.0:-1 ~ 15)点,非自宅群は 4.1(3.0: 0 ~ 9)点で,退院時得点(p= 0.001)と改善度(p = 0.006)とも自宅群の方が有意に改善した.入院時 得点 8 点以上の対象者について退院時得点の分布を図 2 に示した.4点以下はほとんどが自宅群となるが, 5点以上では得点が高いほど非自宅群となる傾向に あった. 2)日常生活機能評価表の退院先別各項目得点の比較 両群の日常生活機能評価表の 13 項目の得点比較を 表 3 に示した.13 項目のうち, 「床上安静の指示」と 「どちらかの手を胸元まで持ち上げられる」の 2 つの 項目は,全員が 0 点であった.すなわち,安静の指示 がある患者は一人もおらず,どちらか片方の手を胸元 に持ち上げられない患者もいなかった. その他の 11 項目について,自宅群と非自宅群の入 院時の得点を比較すると, 「他者への意思の伝達」 (p = 0.045)で非自宅群の得点が有意に高かったのをは じめ,ほとんどの項目で自宅群は非自宅群より得点が 低いか同点であった.しかし「診療・療養上の指示が 通じる」 (p= 0.025) , 「危険行動」 (p = 0.269)は自 宅群の方が高かった. 退院時得点では, 「危険行動」以外の項目は自宅群 と非自宅群で得点に有意差があった.特に「移乗」 (p = 0.009)と「他者への意思の伝達」 (p = 0.002)は 差が大きかった. 改善度は, 「起き上がり」 (p = 0.045) , 「移動方法」 (p = 0.025) , 「口腔清潔」 (p = 0.025)において自宅群 の方が有意に改善していた. 図 1 入院時日常生活機能評価得点 --250 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010. vol. 33 no. 3 各項目の入院時と退院時の得点を比較したもので は,自宅群においては全ての項目で有意に退院時に低 得点となり改善していたが,非自宅群では, 「移動方 法」 , 「口腔清潔」 , 「危険行動」の 3 項目は入院時と退 院時で得点に有意差がなかった. 考察 本研究の分析対象患者 114 人の平均年齢は 72.7 歳 で,男性が 54.4%であった.2007 年の全国回復期リ ハビリテーション病棟連絡協議会の実態調査 4) と比 較すると平均年齢, 性別の割合は同じ傾向であったが, 在 院 日 数 は 全 国 平 均 72.8 日 よ り 長 く, 自 宅 退 院 率 (80.7%)は全国平均(65.8%)を上回っていた.日常 生活機能評価得点の入院時平均は 8.3 点で,2007 年の 回復期リハビリ病棟連絡協議会の調査結果 5)6) である 5.4(± 4.6)点より高いが,退院時平均の 3.9 点は, 2007 年調査の 3.3 (± 5.3) 点と同様であった.これは, 分析対象を脳血管疾患に限定したため重症度が高かっ たと考えられる.すなわち分析対象は ADL の低い重 症者が多いが,退院時までに改善し,自宅退院率が良 いことを示していた.また,退院時得点に較べて自宅 退院率が高いことから,自宅退院の要因が日常生活機 能評価得点以外にもあることが考えられた. 自宅群と非自宅群で有意差があったのは在院日数 で,点数の低い軽症者の在院日数は短く,ほとんどが 自宅退院していた.また,日常生活機能評価得点は, 入院時・退院時ともに非自宅群の方が高く,これは日 常生活機能障害が重症であることを示していた.入院 期間中の改善度については自宅群と非自宅群での差は なく,非自宅群では重症者が長い期間をかけて自宅群 と同じ程度に改善をしていると考えられた. 入院時得点 7 点以下では全員が自宅群であったが, 8 点以上は自宅群と非自宅群に分類されたことから, 表 2 入院時日常生活機能評価得点 8点以上の対象者の特性 --251 回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患患者の退院先を決定する要因 図2 退院時日常生活機能評価得点 (入院時 8 点以上) 入院時 7 ~ 8 点が退院先を決定する一要因と考えられ た. 2007 年の調査 6) では,入院時得点が 10 点以上の重 症者(39 名)の平均改善度は 1.61 点と示されている. 今回 8 点以上の重症者(63 名)のうち,自宅群の改 善度は 6.4 点,非自宅群は 4.1 点であった.2007 年調 査の対象は疾患割合や年齢,性別において本研究とは 異なると推定されるが,本研究の対象者では 8 点以上 の脳血管疾患の改善度は高いと考えられる.8 点以上 では,自宅群と非自宅群で退院時得点と改善度に有意 差があったことから,入院中の改善度と退院時の得点 が退院先を左右することが考えられた. 退院時得点が, 4 点以下の 25 名では非自宅群は 3 名(12%)であっ たが, 5 点以上では 38 名中の 19 名 (50%) と増加した. すなわち,退院時得点が 4 点以下であるとき自宅退院 の可能性が高くなることが考えられた.また,退院時 得点が 5 点以上では,得点が高く自立度が低くなるほ ど自宅外退院の傾向が強くなっており,この結果は ADL が低いほど自宅退院が困難とされる報告 7)-9) と 一致する. 日常生活機能評価表において 8 点以上の患者では, 入院時の「他者への意思の伝達」の項目,退院時では 「危険行動」以外の全ての項目で自宅群は有意に得点 が低くかった.なかでも「移乗」 (p = 0.009) , 「他者 への意思の伝達」 (p = 0.002)が低かったことから, 入院時の認知機能で退院先が予測でき,特に「意思伝 達」というコミュニケーション能力の低下は非自宅群 となる可能性が高い.これは,65 歳以上の高齢者に おいて排泄とコミュニケーション能力は退院先との関 連が強いという報告 10) と一致する.また「移乗」は これまで自宅退院の要件として指摘 8) されている排 泄動作の自立に関連しており, 「移乗」ができるかど うかは,自宅退院の要素として重要な項目であると考 えられる.一方, 「危険行動」に関しては,入院時・ 退院時ともに自宅群と非自宅群での差はなく,この項 目は退院先を決定する項目とはならないと考えられ る. 入院時と退院時の得点差については,自宅群では --252 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010. vol. 33 no. 3 11 項目すべてが有意に改善していたが,非自宅群で は「起き上がり」 , 「移動方法」 , 「口腔清潔」の改善度 において自宅群より低かった. しかし 「起き上がり」 は, 入院時と退院時の得点を比較すると有意に改善してお り,非自宅群において改善を示した項目といえる.一 方, 「移動方法」と「口腔清潔」に関しては入院時と 退院時の得点の有意差がなく,非自宅群において改善 が得られなかった項目であった.よって「移動方法」 と「口腔清潔」は自宅退院を特に困難にする要因と考 えられる.特に 8 点以上の重症者に限っては「移動方 法」 , 「口腔清潔」の 2 項目は, 入院時は 63 名全員が「で きない」となっていた.2007 年調査 5) において,全 13 項目中で最も自立度の低いものが「口腔清潔」で あったことから, 「口腔清潔」は難易度が高い項目と 考えられた.しかし「口腔清潔」が退院先に影響を及 ぼすという先行研究報告はなく,退院先とどのような 影響があるかについて今後さらに検討が必要と考え る.回復期リハビリ病棟における口腔清潔は摂食嚥下 機能の維持と高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防に重要な ケアでもあるが,退院先との関連でも見逃せない項目 の一つと考えられる. 「移動方法」については,脳血管疾患では片麻痺の ため歩行や車椅子走行に介助を必要とする患者が多い ことと,改善が難しいことが推測される.また歩行に 関しては先行研究 8)9)11) においても自宅退院の要因 として同様に指摘されている. また「移動方法」と「口腔清潔」は改善しにくく, 介護が必要な項目として残されることから,これらの 項目に関しての介護指導が上手くいけば自宅退院の可 能性が高まることが予測された. 入院時 8 点以上の重症者の年齢は自宅群と非自宅群 に有意差はなかったが,非自宅群の方が高い傾向に 表 3 日常生活機能評価項目別の退院先の比較 (入院時 8 点以上) Mann-Whitney の U 検定 項目の変化については、3 段階評価について Wilcoxon の符号付き順位検定、2 段階評価について McNemar 検定を実施した。 ただし移動方法と口腔清潔に関しては、2段階評価であるが入院時データが1評価のみで McNemar 検定は不能だったため Wilcoxon の符号付き順 位検定とした。 --253 回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患患者の退院先を決定する要因 あった.在院日数については長い方が自宅退院の確率 が高い傾向から,長期入院は自宅退院の要因になり得 ることが考えられた.これは可能な限りの ADL 向上 と家族への介護指導期間の長さであるとも考えられ る.家族人数は自宅群の方が非自宅群より多く,1 人 暮らしは全員が非自宅群だった.退院時得点が 4 点以 下であったにもかかわらず非自宅群であった 1 名は 52 歳男性で独身の一人暮らしであった.また,他の 2 名は女性で家族人数は 4 ~ 5 人であったが配偶者と死 別しており,自宅退院にはならなかった.退院時の得 点が低くてもこのような社会的な要因で自宅外退院と なることは,先行研究 12)13) と同様の結果であり,脳 血管疾患の場合,介護者の有無が退院先を決定する要 因となることはこれまでも指摘されている.日本の世 帯数の推計によると,平均世帯人員は戦後ほぼ一貫し て減少しており,単独世帯は 2030 年には 37.4%とさ れている 14) . これは自宅退院を困難にする要因となる. 単独世帯に対しては,介護保険サービスなどを上手に 取り入れた退院調整が必要であり,地域の社会資源の 充実度も退院に影響を与えることが考えられる. 結論 入院時の日常生活機能評価得点が 7 点以下の患者は 全員が自宅群であったことから,入院時の得点で退院 先の予測が可能である.また日常生活機能評価得点が 8 点以上の重症者では,入院中に 4 点以下に改善すれ ば自宅退院率を上げられる. 13 項目の中で, 「移乗」 , 「他者への意志伝達」 , 「口腔 清潔」 , 「移動方法」の 4 項目は,退院先と関連のある 可能性が示された. 退院時の日常生活機能評価得点が低く,自立度が改善 した場合であっても同居家族数や配偶者の有無などの 社会的な要因によって,自宅外退院となることが示唆 された. 図3 退院先と家族人数 ( 入院時 8 点以上) --254 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010. vol. 33 no. 3 文献 1) 厚生省監修.厚生白書(平成 12 年版)新しい高 齢者像を求めて-21 世紀の高齢社会を迎えるにあ たって.ぎょうせい ,2000 2) 厚生労働省大臣官房統計情報部:平成 12 年介護 サ ー ビ ス 世 帯 調 査 の 概 況.http://www.mhlw.go.jp/ toukei/saikin/hw/kaigo/setai00/kekka-2html(2009 年 12 月 6 日取得) 3) 中央社会保険医療協議会総会(第 125 回)議事次 第平成 20 年 2 月 13 日資料平成 20 年度診療報酬改定 について ,2008 4) 回復期リハビリテーション病棟連絡協議会.回復 期リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調査 報告書.25-31 国立保健医療科学院施設科学部 ,2008 5) 岩澤和子,筒井孝子監修.看護必要度 第 3 版. 日本看護協会出版会 ,2008 6) 筒井孝子.看護必要度の成り立ちとその活用.照 林社 ,2008 7) 辻哲也,園田茂,千野直一.入院・退院時におけ る脳血管障害の ADL 構造の分析-機能的自立度評価 法(FIM)を用いて-.リハビリテーション医学. 1996,vol. 33, no.5, p.301-309. A.D, et al. Social determinants of discharge destination for patients after stroke with low admission FIM Scores. Arch Phys Med Rehabil . 2007, vol.88, p.740-744. 13) Tamiya, N.; Kobayashi, Y.; Murakami, S. et al. Factors related to home discharge of cerebrovascular disease patients:1-year follow-up interview survery of caregivers of hospitalized patients in 53 acute care hospitals in Japan. Purposes The purposes of this study were to analyze the relationship between the discharge destinations of patients with cerebrovascular diseases (CVD) in our convalescent rehabilitation ward and their levels of activities of daily living (ADL), and also to consider the factors causing those patients difficulties upon discharge. Methods The subjects were 114 CVD patients in our Convalescent Rehabilitation Ward. The investigation was conducted to examine their ADL score, both at hospitalization and at discharge, and to analyze the relationship between changes in their ADL scores and their discharge destinations. Discussion It was suggested that reduction of the ADL score from above 8 points at hospitalization, to less than 4 at discharge, contributed to improvement of the rate of discharge to the patients' own homes, and that four items in the ADL assessment scale, such as 'transfer', 'ability to communicate', 'locomotion' and 'oral care', had an effect on their discharge destinations.
doi:10.14442/generalist.33.246 fatcat:po56g7xbvbgyzkljcuogkkrrky