Factors Causing P. aeruginosa Resistance in Patients Treated with Meropenem
Meropenem投与患者における緑膿菌耐性化因子の検討

Yasuo OGASAHARA, Nobuhiro NAGASAKI, Kouichi OHNO, Tosie HARINO, Tomoko YOSHIDA, Megumi MARUKO
2012 Japanese Journal of Infection Prevention and Control  
2012 年 4 月 26 日 受付・2012 年 9 月 25 日 受理) 要 旨 当院において,2007 年 1 月から 2012 年 1 月の間に緑膿菌が検出され,MEPM の投与を受けた 患者 33 例について,MEPM の投与前に比べて MIC が不変あるいは緑膿菌が消失した群を非耐性 化群,MIC が上昇した群を耐性化群として 2 群に分け, 「非耐性化」と「耐性化」の 2 変数を目的 変数とし,患者の「年齢」 , 「CCr」 , 「入院期間」 , 「MEPM の 1 日投与量」 , 「MEPM の 24 時間 Time above MIC(T>MIC)」 , 「MEPM の投与期間」 , 「MEPM 投与前の緑膿菌の MIC」 , 「ICU 入室の有無」の 8 項目を緑膿菌耐性化危険因子の変数として,単変量解析と多変量解析を行った. 単変量解析の結果, 「T>MIC」と「MEPM 投与前の緑膿菌の MIC」の 2 変数に有意差が認め られた.しかし, 「CCr」 , 「MEPM の 1 日投与量」 , 「T>MIC」 , 「MEPM 投与前の緑膿菌の MIC」の
more » ... 4 変数には多重線形性が認められた.このことより, 「T>MIC」と「MEPM 投与前の 緑膿菌の MIC」が,交絡関係を有した緑膿菌の耐性化危険因子と考えられ,MEPM を投与時に は,緑膿菌の MIC を確認し,T>MIC が延長する投与設計が必要であると考えられた.多変量 解析の結果は,有意差を生じる項目は無かったが, 「ICU 入室の有無」については,p 値が小さく, 注意が必要であると考えられた. Key wordsmeropenem,time above MIC,緑膿菌耐性化 は じ め に 近年,治療に難渋する薬剤耐性菌の出現が問題となっ ている.特に緑膿菌は,耐性化獲得までの期間も短く, 抗菌薬投与中の耐性化の進行や 1) ,複数の耐性化機序の 獲得により 2) ,異なる系統の抗菌薬に同時に耐性化とな る多剤耐性化により治療に難渋することも少なくない. しかし,症例毎に詳細に緑膿菌の耐性化の危険因子に ついて検討された報告は少ない.そこで我々は,緑膿菌 感染症に対して使用される頻度が高く,切り札的に使用 さることも多いカルバペネム系抗菌薬である meropen-em(MEPM)に対する緑膿菌の耐性化の危険因子につい て,症例毎に調査し検討することとした.緑膿菌の検出 部位にかかわらず,MEPM が投与された患者につい て,後ろ向きに患者背景等を調査し,緑膿菌の耐性化を きたす危険因子について検討を行った. 対 象 調査対象は,2007 年 1 月から 2012 年 1 月の間に当 院において,各種検体から緑膿菌が検出され,MEPM が投与された患者 33 例とした(表). 方 法 対象となった 33 例の患者は,同一部位からの検体で
doi:10.4058/jsei.27.419 fatcat:siubro7gz5ghthwuif666fnq5i