Lubricant on Anodic Oxidation Coating of Aluminum
アルミニウム陽極酸化皮膜への潤滑性付与

Hideaki KANEKO, Shoichi TSUCHIYA, Satoshi ENDO, Masatsugu MAEJIMA
2014 Journal of The Surface Finishing Society of Japan  
1 .はじめに アルミニウム合金は,輸送機器,機械,電子機器などの軽 量化材料として多用されている。その摺動部品には,高い耐 摩耗性と潤滑性が要求される。 アルミニウムの硬質陽極酸化皮膜は,硬質クロムめっきに 匹敵する耐摩耗性を有することが知られているが ,様々な 摺動・摩耗形態に対しては,さらに適切な潤滑性の付与が必 要となる 。 潤滑剤には,液体状の鉱物油,植物油,合成油などと,固 体状の MoS ,グラファイト,WS などの無機系層状構造物, ならびに,ポリテトラフルオロエチレン・PTFE,シリコーン, ポリエチレンなどの線状分子構造有機高分子の固体状が広く 用いられている。 無機系固体潤滑剤は,粉末状であり,それ自体での成膜は 難しく,油脂類との併用,ならびに,樹脂などの成膜剤が必 要となる。 有機系フッ素樹脂の潤滑性は,フッ素含有量の多い PTFE が優れているが,成膜温度が高く,アルミニウム基材および アルマイト皮膜に熱的変化をもたらす。一方,PTFE 微粒子 懸濁水溶液に浸漬し,低温で乾燥する方法 ,ならびに,シ ランカップリング剤を含む PTFE
more » ... し 密着性を改善した方法 がある。しかしながら,被膜の密着 性が,不十分で取り扱いに注意が必要である。 本報では,アルミニウム合金の摺動部品の耐摩耗性と潤滑 性の機能化技術に関し,陽極酸化皮膜上の熱可塑性線状高分 子のオレフィン系樹脂被膜,さらに,少量の PTFE,ならび に MoS を含む被膜の潤滑性について,概報 を含めて述べ る。なお,ここに述べるオレフィン系樹脂被膜システムは, ㈱アルミ表面技術研究所で「アル・ルーブ (AL-LUB) シリー ズ」として上市している。 2 .高分子樹脂の潤滑性 固体潤滑剤としての高分子樹脂は,表 1 などがあげられ る。これらの樹脂は熱可塑性で,分岐の少ない線状構造を有 し,分子は相互に滑りやすいが,多くは,固体・粉体で供給 され,金属表面への薄膜形成には難しいものがある。本稿で は,ポリエチレン構造に類似し,側鎖に親水基の -COO 基を 導入した水溶性ポリオレフィン高分子樹脂の適用を検証する。 この樹脂は,金属イオンと結合,加熱によって解離するイ オンポリマーとしても知られており,金属との強い結合・密 着性が期待される。成膜した樹脂の化学的・物理的性質は, ポリエチレンに近い。 図 1 に成膜のメカニズムの模式図を示す。 アルミニウム陽極酸化皮膜への潤滑性付与 -オレフィン樹脂被膜の可能性-金子 秀昭 a ,土屋 正一 b ,遠藤 哲 b ,前嶋 正受 b a カネコ技術士事務所 (〒 121-0814 東京都足立区六月 2-20-1) b ㈱アルミ表面技術研究所 (〒 302-0034 茨城県取手市戸頭 9-18-3) 図 1 成膜のメカニズム プラスチック名 大気中の摩擦係数μ 大~小 大気中熱安定性℃ ポリエチレン 0.5 ~ 0.05 60 ~ 200 ポリプロピレン 0.4 ~ 0.15 120 3 フッ化樹脂 0.35 ~ 0.15 200 ナイロン 66 0.4 ~ 0.05 130 ~ 150 PTFE 0.2 ~ 0.04 260 ポリカーボネート 0.35 140 アセタール 0.2 ポリイミド 0.6 表 1 固体潤滑剤用プラスチックの摩擦係数
doi:10.4139/sfj.65.432 fatcat:5p3nns2w5zcobphjcxopum44ly