空家の管理および利用に係るルールメイキングに関する一考察-中山間地域の暮らしをつなぐために: 豊田市の住民提案条例案 策定事例報告 An Analysis of the Rulemaking Process for Managing the Vacant Properties-For a better living in hilly and mountainous areas: A case of Toyota City 神山智美(富山大学経済学部)

Kohyama Satomi
2016 Journal for Interdisciplinary Research on Community Life   unpublished
摘 要 空家問題は、 大きくは都市域と中山間地域の問題に分けられる。 なかでも中山間地域における空家は、 新規移住者受入れのための資産であり、地域の暮らしをつなぐために有効利用できるものと考えられる。 筆者は、前述の観点から行政と市民が地域ぐるみの取組をしている豊田市に関わらせていただいた。具 体的には、 「豊田市おいでん・さんそんセンター プラットフォーム会議 移住・定住専門部会」に参加さ せていただいた。本報告は、(1)前述の移住・定住専門部会において住民提案条例案策定に関わらせてい ただいた経験を記録としてまとめるとともに、(2)市民立法の現状を踏まえ、本件住民提案条例の可能性 を検討し、(3)空家等対策の推進に関する特別措置法制定後の自治体による条例活用のあり方について試 論したものである。 Ⅰ はじめに 近年、土地利用に関する法制度が、 「使わないの であれば他の人に使ってもらいましょう」 「自分で 管理できなければ管理を委託してください」 「農地 や森林地を所有し始めたという自覚を持ってくだ さい」という内容に変化してきている 1) 。従来、
more » ... 。従来、 過剰利用(オーバーユース)によって生じた土地 に関する問題が、その原因を過少利用(アンダー ユース)に変容して、新たな形でクローズアップ されてきている。 宅地利用も土地利用の一種であり、ここにもい わゆる空家 2) 問題という類似の問題が生じてきて いる。空家は、 「平成 25 年(2013 年)住宅・土地 統計調査結果」 (総務省統計局) 3) によれば、総住 宅数は 6,063 万戸と 5 年前から 5.3%上昇しており、 空き家率も 13.5%(約 820 万戸)と 5 年前に比べ 63 万戸(8.3%)増加し過去最高値となっている。 よって、その対策のためにも全国で 401 の自治体 が空家条例を制定している 4) (2014 年 10 月現在) 。 2014 年には、空家等対策の推進に関する特別措置 法(以下「特措法」という。 )も制定されるにいたっ た。 空家は 2009 年 7 月の国土審議会土地政策分科会 企画部会報告 5) によれば、外部不経済をもたらす 土地利用に該当している。というのも、空家の存 在は、地域にあっては防災および防犯上の危険を 増加させることはもとより、 荒れた景観を形成し、 住民の当地に住み続けるというモティベーション の維持を困難にしかねないからである。他方、昨 今では地方への移住希望者は増えているといわれ ており 6) 、 彼ら移住希望者の移住が促進されれば、
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