Yoshiko Tonegawa Analysis of the Relationships Between Local Development NGOs and the Communities in Ethiopia: The Case of the Basic Education Sub-Sector

2015 Comparative Education  
243 書 評 本書は、著者の博士論文を基に刊行用 に整えたものである。国際開発分野にお ける NGO の役割は近年ますます重視さ れている。とりわけ、国内を活動基盤と するローカル NGO は、計画作りへの参 画、開発事業のモニタリングや評価から、 政策と地域コミュニティとの接合役まで 広範な業務を期待され、その重要性を増 している。こうした中、エチオピアの基 礎教育を舞台に活動するローカル NGO と地域コミュニティとの関係について主 要関係者の生の声に基づいて考察したの が本書である。ローカル開発 NGO を取 り上げ、彼らの活動の裨益対象であるコ ミュニティとの関係に光を当てた研究は 希少であり、ここに本研究の学術的貢献 が認められる。 全体は6つの章から構成されており、 第 1 章では研究の目的と意義について述 べている。ローカル開発 NGO の志向と 立ち位置、コミュニティとの関係、そし てその関係の決定要因を明らかにする、 本研究の意図を表明している。 第2章は本研究の主要テーマである NGO について論じている。NGO は非営 利目的で自発的に組織化した非政府のも
more » ... 目的で自発的に組織化した非政府のも のとの特徴を持つが、明確な定義が困難 なほど多様な形態がある。開発 NGO 誕 生の背景について、経済成長がトリクル ダウンを通じて貧困層に裨益するとの開 発アプローチに対して、草の根の住民自 身の参加と意思決定を通じた「もうひと つの開発」を推進する組織、特にアフリ カでは 1980 年代の構造調整期に指摘さ れた教育・保健などの公共サービスを提 供する際の「政府の失敗」を補うもの、 また、ガバナンスの強化を求める「新政 策アジェンダ」に則った開発援助機関に よる支援のパートナーの 3 つを挙げてい る。これらを背景に、1990 年の「万人 のための教育」世界会議、2000 年のミ レニアム開発目標以降、教育セクターに おいて国際、ローカルを問わず、開発 NGO の数およびその活動は格段に拡大 した。 開発 NGO と地域コミュニティとの関 係については、NGO がコミュニティに 対して負う説明責任の在り方、開発プロ ジェクトでのコミュニティの参加のタイ ミング(計画、実施・モニタリング、完 了・評価)と参加度合い(資源・役務の 提供、情報の受け手、一部権限の実行、 主体的意思決定) 、NGO の組織ミッショ ン、職員の個人的意見について文献を検 討し、研究枠組の構築に繋げている。 第 3 章ではエチオピアのローカル開発 NGO について論じている。軍政を経て 1990 年代に連邦民主制に移行した後も、 政府はしばらくの間 NGO 規制策を取っ ていたが、2000 年以降は貧困削減戦略、
doi:10.5998/jces.2015.50_243 fatcat:r76rp2ldn5hyzfexkerwjgc4rm