The 2 Cases of Muir-Torre Syndrome Diagnosed after Endoscopic Treatment

Tatsunori Satoh, Takafumi Kurokami, Yuta Majima, Asami Kawai, Shuzo Terada, Shinya Endo, Naofumi Shirane, Hiroaki Yagi, Shinya Kawaguchi, Kazuya Ohno
2017 Nihon Naika Gakkai Zasshi  
syndrome: MTS)は,1960 年代にMuirら 1) ,Torre 2) により 報告された脂腺系腫瘍またはケラトアカントー マを皮膚病変とし,内臓悪性腫瘍を併発する常 染色体優性遺伝性疾患である.生殖細胞系列で のDNA(deoxyribonucleic acid)ミスマッチ修復 遺伝子の病的変異が主な原因と考えられてお り,Lynch症候群の一亜型といわれている 3, 4) . 欧米を中心に報告されてきたが本邦での報告は まだ少ない. 今回,我々は消化管癌の内視鏡治療後の定期 通院中に脂腺癌を認め, MTSと診断した2例を経 験したので,若干の文献的考察を加え報告する. 症例 1 患者:64 歳,男性.主訴:右上腕皮下腫瘤. 現病歴:X年8月に食道表在癌に対し内視鏡的粘 膜 下 層 剝 離 術(endoscopic submucosal dissec-tion:ESD)を施行され,X+1 年には多発大腸 腺腫に内視鏡的粘膜切除術 (endoscopic mucosal resection:EMR)を受けた.さらに,X+2 年に
more » ... その 後,定期的な上下部内視鏡検査のため,当科に 消化管癌治療後の経過観察中に Muir-Torre症候群が疑われた2 例 佐藤 辰宣 1) 黒上 貴史 1) 間嶋 佑太 2) 川合 麻実 1) 寺田 修三 1) 遠藤 伸也 1) 白根 尚文 1) 八木 宏明 2) 川口 真矢 1) 大野 和也 1) 要 旨 Muir-Torre症候群(Muir-Torre syndrome:MTS)は,脂腺系腫瘍またはケラトアカントーマを皮膚病変と し,内臓悪性腫瘍を併発する常染色体優性遺伝性疾患である.症例は 64 歳の男性と 45 歳の男性.両者とも消化 管癌に対し内視鏡治療後に皮脂腺腫瘍を発症し,Muir-Torre症候群と診断された.消化管癌の内視鏡治療患者の 中にも遺伝性腫瘍疾患の可能性を認識し,個々の症例への対応が重要である. 〔日内会誌 106:2229~2236,2017〕 ポイント ・皮脂腺腫瘍と内臓悪性腫瘍を認めた場合,Muir-Torre症候群を疑う. ・若年発症やLynch関連癌の家族歴があるときは遺伝性大腸腫瘍の可能性がある. ・そのため,既往歴や家族歴の詳細な問診は重要である. ・家族性腫瘍が疑われた場合,遺伝カウンセリングを含めたチーム医療を検討する.
doi:10.2169/naika.106.2229 fatcat:rmwargxsqjdklowdk4fmdzhzqa