Anodic Films Formed on Magnesium Alloys by Plasma Electric Oxidation and Enhancement of Bioactivity

Sachiko ONO, Hidetaka ASOH
2020 Journal of The Surface Finishing Society of Japan  
.はじめに マグネシウム (Mg) は近年,その金属材料としての軽量性 と高い比強度,リサイクル性,生体親和性など優れた特性 , に注目が集まっている。特に生体必須元素である無害性や高 い分解性,弾性率が生体骨に近いことなどから,インプラン トなど骨代替材料の役割に加えて,体内で分解され吸収され る医療用金属材料として,ステントなどへの適用を想定した 生体分解・生体吸収マグネシウム材料の研究開発が進められ てきた 。一方,マグネシウム素材への合金元素添加によ る耐食性の向上と共に ,主としてカルシウム (Ca) 添加 による難燃性の改善が進展し,これに伴い,自動車部品に加 えて,鉄道車両等の輸送機器への適用も考慮されるように なった。Ca 添加はイオン放出により生体適合性を向上させ, 同時に耐食性の改善にも寄与すると考えられている 。 このような実用の為には,マグネシウムの分解を制御し得る 充分な耐食性を付与する表面処理が重要であり,中でも高い 耐食性を期待できるアノード酸化処理を用いた表面酸化皮膜 の役割が大きい 。マグネシウムのアノード酸化処理は
more » ... 理は 主として火花放電を伴うプラズマ電解酸化 (Plasma Electrolytic Oxidation: PEO,または Micro-Arc Oxidation: MAO と呼称) で, いわゆるアルマイトなど一般的なアルミニウム (Al) のアノー ド酸化皮膜 とは生成メカニズムの異なる部分が多い 。 マグネシウムのアノード酸化皮膜の構造と成長メカニズム, 皮膜構造と耐食性の関係に関しては,本誌 2018 年 12 月の特 集号に紹介したが ,本稿では,初めに Mg 合金の PEO 皮 膜の成長挙動の特徴と, 電解液へのエチレングリコール (EG) などアルコール類を添加した時の皮膜生成への効果について 紹介し,続いて AZ31(Al 3%,Zn 1% を含む Mg 合金) に生 成する PEO 皮膜の水酸アパタイト (HAp) による in vitro での 生体適合性と耐食性評価,また Ca 添加した AM60(Al 6%, Mn 0.3% を含む Mg 合金) における酸化皮膜生成の特徴的な 挙動について紹介する。 2 .Mg 合金のアノード酸化皮膜成長の特徴と素地合 金成分の挙動 2.1 プラズマ電解酸化における皮膜の成長メカニズム 典型的な厚いポーラス型のアノード酸化皮膜成長において は,主として皮膜内部に移動する酸化物イオンと素地金属イ オンとの反応で酸化物が生成し,皮膜は素地界面でのみ成長 する , 。従って,異なる電解液で 2 段階の電解を行うと, 最終的な電解で生成した酸化皮膜は素地界面側,すなわち内 側に存在する。しかし,火花放電を伴う Mg のプラズマ電解 酸化皮膜においては,最後に作製した皮膜の電解液成分が皮 膜最表面に検出されることから,皮膜は主に溶液界面で成長 していると考えられた 。図 1 に,最初にリン酸ナトリウ ム電解液で電解し,続いてケイ酸ナトリウム電解液で電解し て生成した皮膜の破断面の走査電子顕微鏡 (SEM) 像とエネ ルギー分散型 X 線分析 (EDS) の元素マップ像を示す。ボイ ドの部分を除き,皮膜下部に主として P が検出され,上部 には Si が検出される。これから,プラズマ電解において, 素地由来の Mg イオンは放電により皮膜外部に放出され,電 解液中のアニオンと化学反応し,皮膜として析出することが 明らかになった 。皮膜が厚く成長している部分は強いス パークが発生した部分である。XRD と EDS 測定結果が示す 通り,1 段階目の電解では主として Mg (PO ) が皮膜の主成 分として溶融状態を経て基板上に沈積固化し ,2 段階目の 電解では主として SiO が沈積する 。 2.2 アノード酸化皮膜中での Mg 合金成分の挙動 Mg 合金中の添加元素は Al を始めアノード酸化皮膜中で 素地近辺に濃縮する場合が多い。図 2 に AZ91(Al 9%, Zn 1% を含む) 合金の FIB(収束イオンビーム加工) 断面と素地 近辺の皮膜組成の EDS 線分析結果を示す。質量 % で,おお よそ O:45,P:25,Mg:20,Al:10 程度であった。ここ からも電解質アニオンからの P 量の多さと,Al/Mg 比が 0.5 に達する高い濃縮度が示された。Al の濃縮した素地隣接層 は電子顕微鏡で暗いコントラストを示し,約 0.5 μm の厚さ マグネシウム合金のプラズマ電解酸化皮膜の特徴と生体適合化 小野 幸子 a ,阿相 英孝 a a 工学院大学 先進工学部 (〒 192-0015 東京都八王子市中野町 2665-1)
doi:10.4139/sfj.71.212 fatcat:g5jmh7bvqrd7tfyqgaayx7ttse