日本アルプスの高山帯および亜高山帯上部に分布する湖沼の成因
Origin and spatial distribution of alpine and subalpine lakes and ponds in the Japanese Alps with special reference to landslides

Sadao TAKAOKA
2014
キーワード:山岳湖沼,地すべり,積雪深,地質 Keywords:High mountain lake and pond, Landslide, Snow depth, Geology, はじめに 日本の高山帯および亜高山帯上部には面積が 1000m 2 に 満たない小さな湖沼が点在している。これらの水域は、山 岳地域に占める面積はわずかではあるが、水生植物や動物 の生存に対して重要な役割を担っていると考えられる。こ れらの湖沼の多くは流入・流出水路を持たない閉塞湖沼で あり、湖水の滞留時間が長いために、人為的な作用が及ん だ場合の影響が大きくなる、脆弱な生態系を形成している といえる。 地 す べり 地形 の 卓越 する 北ア ル プス 北部 で は、 標 高 2000m 以上の地域に分布する湖沼のほとんどが、地すべり と関係して成立していることが報告されている(高岡ほか, 2012) 。本研究では、さらに対象地域を広げ、日本アルプ ス全体について、湖沼の成因と分布の特徴を検討した。 方法 対象地域は北アルプス、中央アルプス、南アルプスを中 心とする標高 2000m
more » ... 7km 2 )である。空 中写真(国土計画局 1976・1977 年撮影,カラー,縮尺 1/15,000 ほか)を判読し、朝日岳周辺、白馬岳周辺、烏 帽子岳周辺、上高地周辺、乗鞍岳周辺、木曽駒ヶ岳周辺に おける現地踏査の結果を加味したうえで、湖沼の位置を GIS で図化した。図化の対象としたのは、水面の面積が約 50m 2 以上の湖沼である。 結果と考察 対象地域において 304 個の湖沼が判読された。これらの うち地すべり移動体の内部や隣接地に分布するものが 65 個、地すべりや山体重力変形が起きた場所の周囲にある線 状凹地内に分布するものが 137 個であり、合わせて 202 個 (66.4%)が地すべり・重力変形に関係する地域に成立し たものである。他に火口や溶岩台地上の凹地など火山地形 と関係があるものが 51 個(16.8%) 、氷河地形と関係があ るものが 48 個(15.8%) 、その他の地形と関係があるもの が 3 個(1.0%)であった。 このように湖沼の成立には地すべりや山体重力変形によ る地形が重要であるが、南アルプスでは同様の地形が発達 するにもかかわらず湖沼の数は少ない。湖沼の成立には積 雪の多寡や基盤岩風化の進行の違いに影響する地質の違い が関わっていると考えられる。 304 個の湖沼のうち 268 個(88.2%)は面積が 1000m 2
doi:10.14866/ajg.2014s.0_100239 fatcat:oooygrramzcdhedr4wvrteptam