Film Deposition and Micro-machining of Smart Actuator Materials for MEMS Applications

Takashi MINETA
2017 Journal of The Surface Finishing Society of Japan  
.はじめに 本格的な MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 技術が 登場してから 30 年近くが経ち,加速度,角速度 (ジャイロ) , 磁気,熱などの各種マイクロセンサや,インクジェットヘッ ド,DLP プロジェクタ素子などの各種マイクロアクチュエー タとして,幅広い応用分野において実用化され,身近な生活 にも浸透してきている 。MEMS 形成技術は半導体形成プロ セスの応用からスタートし,Si 基板自体を立体貫通加工す るバルクマイクロマシニングと,Si 化合物等の薄膜を積層 形成して下部の犠牲層を除去する表面マイクロマシニングを 中心に進歩してきた 。さらに高い機能大きなメカニカルな 動作などを発揮するためには,機能性材料の付加が必要であ り,Si テクノロジーを基盤とした MEMS へ,様々な材料の 薄膜形成と微細加工技術を融合されてきており,今後もその 傾向は続いていく。センサ薄膜,アクチュエータ薄膜,バイ オケミカル薄膜等々,それぞれの分野における詳細な専門書 や解説論文が出版されており,詳細はそちらを参照されたい 。
more » ... ロアクチュエータへの応用を指向した機 能性材料である形状記憶合金と磁歪合金にフォーカスし, MEMS デバイスへの応用について薄膜形成と微細加工プロ セスの観点から紹介する。 2 .形状記憶合金厚膜形成と MEMS デバイスへの応用 2.1 SMA 厚膜形成 形状記憶合金 (Shape memory alloy:SMA) の原理やマイク ロアクチュエータへの応用についても,専門書が出版されて おり,詳細はそちらを参照されたい , 。SMA アクチュエー タが発揮できる単位体積あたりのエネルギー密度 (発生力× 変位/体積) は 10 J/m オーダーに達し,熱型,静電型,圧 電型などの種々のマイクロアクチュエータ技術と比べて桁違 いに大きい 。多くの合金で形状記憶特性が見出され,生体 適合性のある NbTi 系合金なども開発されているが ,大き なエネルギー密度を活かして工業的に実用化されているのは, ほとんどが TiNi 系合金である。 1990 年頃からスパッタ法を中心とした SMA の薄膜形成の 技術開発が進み ,スパッタ法で形成した厚さ 1 ~ 2 μm の TiNi 形状記憶合金薄膜では,形状回復応力と回復歪とも 実用的なバルク材料のレベルに達している 。TiNi 系 SMA では,1% 以下の僅かな組成の違いでも変態温度が大きく影 響されるため,精密な組成制御が重要である。合金ターゲッ トを用いたスパッタ成膜では,Ti と Ni のスパッタ速度差に よりターゲットとは異なる組成の膜が形成され ,長期の使 用中にターゲット表面の組成も変動していく。安定した組成 を得るためには,Ti,Ni 等の構成元素毎に分割したターゲッ トを用いる成膜法が有効である , 。スパッタ成膜では,高 エネルギーの粒子が飛来して堆積して非晶質の膜になりやす く,成膜後に結晶化のための高温熱処理を要する場合が多い。 筆者らは数十 μm クラスの厚膜形成を目指し,図 1 に示す 成膜装置を用いた特殊なフラッシュ蒸着法による SMA 成膜 法を開発してきた 。通常のフラッシュ蒸着では,粉末 状の蒸着源が用いられるが,SMA 粉末は入手が容易ではな スマートアクチュエータ材料成膜と微細加工の MEMS への応用 峯 田 貴 a a 山形大学 大学院理工学研究科 (〒 992-8510 山形県米沢市城南 4-3-16)
doi:10.4139/sfj.68.373 fatcat:mxdsvk7ubzabnnkfyyrzsgqh7m