Development of Magnetic Resonance Based Functional Imaging Techniques Heading Up to Theranostics ~Creating Next Generation Functional Contrast Agents~

Keizo Takeshita, Ken-ichiro Matsumoto
2016 Yakugaku zasshi  
核磁気共鳴イメージング法(magnetic resonance imaging; MRI)は,今や X 線 CT や核医学イメー ジング法とともに医療には欠かせない診断法となっ ている.初期において MRI は X 線 CT と同様に解 剖学的な情報を得る手段と位置づけられていたが, 新しい撮像法の開発や造影剤の活用によって,生理 機能の画像化法としても使用されつつある.一方, 電子ス ピン 共鳴 イメー ジン グ法 (electron spin resonance imaging; ESRI)は,空間分解能は MRI に及ばないまでも不対電子を持つ物質のみを測定す る特性を持つ.そのため,動物実験系において安定 ラジカルであるニトロキシルラジカルをプローブと した生体レドックスの測定や鉄ニトロシル錯体の形 成に基づいた生体内 NO の測定に利用されてき た.さらに,15 年ほど前より MRI の空間分解能で ラジカル分布を得る dynamic nuclear polarization (DNP)-MRI[proton-electron double resonance
more » ... (PEDRI)又は Overhauser-enhanced MRI (OMRI)とも称される]の研究が世界的に活発と なり,動物実験用の装置が開発され,レドックス研 究に使用されるようになった.また同時にトリアリ ルメチルラジカルのようなプローブの開発も行わ れ,レドックスのみならず酸素分圧の測定にも用い られるようになった. このように,近年における磁気共鳴イメージング 法は基礎医学において生理機能を画像化する方法と して,装置開発と造影剤開発の両輪で進展してき た.また一方で,実験動物による疾患モデルや治療 モデルで実証しデータを蓄積してきた.これが目指 すものは新しい診断法の提案であり,またそれによ る治療法の開拓である.これについては過去に総 説 1 4) 及び日本薬学会シンポジウムのテーマでもし ばしば採り上げられてきており,昨年安西和紀先生 (日本薬科大)と兵藤文紀先生(九大レドックスナ ビ拠点)が企画された「生体内レドックス反応を可 視化する-装置開発から病態応用まで-」が記憶に 新しいところである. ところで,最近,診断法(diagnostics)と治療法 (therapeutics)の融合あるいは直結を意味する造語 であるセラノスティクス(theranostics)という言 葉を耳にするようになった.セラノスティクス自身 にははっきりした定義がないようであるが,次のよ うなことを含んでいるであろう. 1. 診断において治療に必要な情報を得て,効果 的な治療へつなげる. 2. 治療効果を診断技術により迅速に評価し治療 法の検証を行う. 3. 診断で病気の前段階をいち早く察知して早期 発見を行い,治癒率を高める. 4. 造影剤自身が治療薬となる機能性造影剤によ り,診断と治療を同時に行う. これまで適確な診断ができずに治療が遅れるケー スも少なくない.また,早期発見は多くの疾患で治 癒率に格段に影響することは言うまでもない.治療
doi:10.1248/yakushi.15-00234-f pmid:27477719 fatcat:7jbglamvivaetnlo7hqgg33hp4