Material Evaluation with Various Optical Measurement Systems: Focusing on Terahertz Spectroscopy

2010 Journal of the Vacuum Society of Japan  
. は じ め に 光というと,目で色が確認できる可視光,波長としては 350~700 nm が代表的であり,それより短波長が紫外線, 長波長側が赤外線となる.最近,マスコミなどで取り上げら れることが多いテラヘルツ領域は赤外線より長い波長の波で ある.これらはそれぞれ,物質の異なるエネルギー状態に対 応するため,測定対象の種々の物性を反映する.すなわち, 適当な波長の波を選択して測定に用いることにより,材料の 様々な特性評価が行える.当社では,光を利用した計測装置 を開発,製造,販売している.本稿では,紫外領域からテラ ヘルツ領域までの光 (波) を利用した計測機器のいくつかを, テラヘルツ分光器を中心に紹介したい. . テラヘルツ分光 当社のテラヘルツ分光器 TR 1000(図)は,テラヘル ツ時間領域分光法(Terahertz Time-Domain Spectroscopy, THz TDS)を用いている.THz TDS は,フェムト秒パル スレーザー光を低温成長 GaAs 薄膜などに照射することによ り,広帯域成分を持つテラヘルツパルスを発生させる 1,2) .
more » ... サンプルを透過あるいは反射したテラヘルツパルスとサンプ ルなしのパルスをそれぞれフーリエ変換して周波数領域スペ クトルとし,比較することによって,透過/吸収スペクト ル,反射スペクトルを得る.周波数を掃引する分光法と比べ て,短時間で広帯域スペクトルが測定できる.さらに,パル スの時間追跡であるので,直接,位相に関する情報を得られ ることが THz TDS の優位点である.振幅強度と位相差か ら,複素屈折率 n (実部は屈折率 n,虚部は消衰係数 k )が 得られる.複素屈折率は光学定数ともいわれ,物性評価に重 要な値である.また,複素屈折率から複素誘電率も計算さ れ,サンプルの電気的特性の評価を行うことができる. 当社のテラヘルツ分光器 TR 1000の特徴を以下に記す. 二波長(1560 nm と780 nm)の利用による広帯域化 小型化 短時間測定 高性能高い測定繰り返し性,高分解能 水平置きサンプル台 液体用微量セル 粉体用微量セル 光学系の模式図を図に示す.テラヘルツ波源として,低温 成長 GaAs 光伝導スイッチ素子,DAST(4 dimethylamino N methyl 4 stilbazolium tosylate)結晶の 2 種類を搭載し, 切り替えて使用することがもっとも大きな特徴である 3) .低 温成長 GaAs は0.04~4.0 THz, DAST 結晶はさらに高周波 域の0.1~7.0 THz のテラヘルツ波を発生する(図) .一次 光源であるエルビウム・ドープ・ファイバーレーザーは,
doi:10.3131/jvsj2.53.344 fatcat:gxxuq3wpurc6paf6asib6v2iuy