Granular Cell Tumor at the Hepatic Hilum Mimicking Hilar Bile Duct Carcinoma
肝門部胆管癌と鑑別困難であった肝門部胆管顆粒細胞腫の1例

Eiji Hayashi, Yoshito Okada, Yohei Takahashi, Satoko Shimada
2017 The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery  
1 例を経験したので報告する.症例は 38 歳の女性で,健診の腹部超音波検査で左肝内胆 管拡張を指摘され当院へ精査目的で紹介された.腹部造影 CT で肝左葉の著明な胆管拡張と左肝管に腫瘤 像を認めた.ERCP で左肝管に結節型の著明な狭窄を認め,この上流側の著明な胆管拡張を認めた.生検 で異型円柱上皮細胞を認め良悪性の判断はしえなかったが,肝門部胆管癌の術前診断で尾状葉合併左肝切 除兼肝外胆管切除・胆道再建を行った.術後の病理組織学的検査で肝門部胆管顆粒細胞腫と診断された. 術後経過は良好であり,術後 1 年半の現在までに再発を認めていない.我々が文献検索したかぎりでは, 胆道原発顆粒細胞腫の本邦報告例は本症例を含めて 7 例であり,肝門部胆管顆粒細胞腫の報告は本邦初で ある. キーワード:顆粒細胞腫,胆管,胆道 はじめに 顆粒細胞腫(granular cell tumor;以下,GCT と略記)は 1926 年に Abrikossoff 1 ) により,筋芽腫性筋腫 (myoblastomyoma)として初めて報告された.通常は皮膚や皮下組織,舌に発生することが多い腫瘍であ り 2
more » ... ) ,消化管での発生は少なく胆道系では極めてまれである 3 ) .今回,我々は肝門部胆管癌と鑑別困難で あった肝門部胆管 GCT の 1 例を経験したので報告する. 症 例 患者:38 歳,女性 主訴:自覚症状なし. 既往歴:37 歳,卵巣囊腫手術 家族歴:特になし. 現病歴:健診の腹部超音波検査で左肝内胆管拡張を指摘された.同月,近医でも同様の所見を認め,精 査目的で当院へ紹介された. 初診時現症:身長 160 cm,体重 66 kg.眼球結膜に黄染はなかった.腹部は下腹部に横切開の手術瘢痕 を認めるのみであった. 血液生化学検査所見:特に異常値は認めなかった. 〈2016 年 11 月 22 日受理〉別刷請求先:林 英司 〒 457-8510 名古屋市南区三条 1-1-10 独立行政法人地域医療機能推進機構中京 病院外科 日本消化器外科学会雑誌.2017;50(5):386-392
doi:10.5833/jjgs.2016.0116 fatcat:hxaggreztffmrb4lzqvngfsrjy