緒言 連続鋳造鋳片の中心偏析や大型鋳塊の V 偏析,逆 V 偏析 といったマクロ偏析は材料強度や加工特性を低下させるた め,鋳造工程における様々な偏析低減策が重要となる。凝 固収縮起因の中心偏析には,電磁攪拌による凝固組織の等 軸晶化や凝固末期部への軽圧下等が有効である。大型鋳塊 に形成する V 偏析には,鋳型形状・サイズに応じた押し湯 設計,成分調整等の条件適正化が効果的である。一方,鋳 塊サイズが大型化することによって不可避的に発生する逆 V 偏析には,現状絶対的な偏析低減策が無く,試行錯誤的 に決定された鋳造条件によって製品品質に影響の無い偏析 レベルに制御されている。 逆 V 偏析は,1970~1980 年代に実験的研究が盛んに行わ れ,生成機構や生成条件の検討がなされてきた 1-7) 。これら の研究から逆 V 偏析の生成には,固液共存領域におけるデ ンドライト樹間への濃化溶湯の流動が強く関連しているこ とが判明し,逆 V 偏析低減策として密度差の大きい元素の 添加量を調整することでの密度対流抑制が有効であるとさ れた。しかしながら,成分元素の添加量は,材料強度や加

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... 材料特性に影響するため逆 V 偏析低減策としての 積極的な利用には限界がある。また,逆 V 偏析の生成が鋳 塊サイズや鋼種毎に異なっているため,その生成条件と添 加量の関係の統一的な説明ができなかった。そのため 1980 年代後半頃から,逆 V 偏析の生成条件や生成機構を数値シ ミュレーションによって明らかにする研究が行われるよう になった 8-13) 。逆 V 偏析の生成には,固液共存領域すなわ ちデンドライト樹間の流動が重要であるため,固液共存領 域で Darcy 流れを仮定するモデルによるシミュレーション が一般的となっている。Darcy 流れによる流速(u)は,空 隙率(ε)の多孔質媒体の距離(L)に対する圧力損失(ΔP) と比例関係にある。従って, (1)式のような関係式となり, 比例係数に相当する透過率(K)は,流速の値を左右する重 要なパラメータである。 u = -K ε μ ΔP L (1) 論 文 3 次元数値流体解析による柱状デンドライ ト組織の透過率評価 棗 千修 1) * ・高橋 大喜 2) ・河嶋 佳純 3) ・谷川 英司 3) ・大笹 憲一 1) Synopsis : Toevaluatethepermeabilityforcolumnardendriticstructures,threedimensional(3D)flowsimulationsofinterdendriticliquidwerecarried out. The 3D columnar dendrites were made by means of the computer aided design (CAD), which were based on two-dimensional dendrite morphologiescalculatedbyaphase-fieldmethod.Theartificial3Dcolumnardendriteswereregularly-arranged,andsixkindsof3Dcolumnardendriticstructureswereobtained,whichhavedifferentvolumefractionsofliquidbetween0.56and0.95.Forthesecolumnardendritic structures,theflowsparallelandnormaltotheprimarydendritearmswerecalculatedbytheFLUENT,andthepermeabilityforsix3Dco-lumnardendriticstructuresandbothflowdirectionsweredeterminedbyusingtheDarcylaw.