A Case of Low Anterior Resection and Hepatectomy for the Patient with Dubin-Johnson Syndrome—Report of a Case—
直腸切除と肝切除術を施行したDubin-Johnson症候群の1例

Risa SAKAMOTO, Akira WATANABE, Hitoshi SEKIDO, Tetsuya SIMIZU, Jun PAKU, Yusuke NAKAZAKI, Hitoshi NIINO
2016 Nihon Rinsho Geka Gakkai Zasshi (Journal of Japan Surgical Association)  
77歳,男性.黄疸の既往があるが精査歴はない.下血を主訴に前医受診し,当院紹介と なった. 下部消化管内視鏡検査で直腸 S 状部に 2 型腫瘍を認めた. 生検で直腸癌と診断し 腹腔鏡下低位前方切除,D3 郭清術を行った.術中所見で黒色肝を認めた.術後に著明 な黄疸を認め,精査で Dubin-Johnson 症候群 (以下,DJS) と診断した.経過観察のみで 黄疸は改善した.腹部 US で肝 S6 に24mm 大の高エコー腫瘍を認め,造影 CT と EOB-MRI 所見と合わせ,肝転移と診断した.術後53日目に肝 S6 部分切除術を行った.術後 に黄疸を認めたが経過観察のみで改善した.最終診断は直腸癌 RSRa pT3N1aH1P0M0 Stage IV で,肝臓の病理所見も DJS で矛盾しなかった.DJS は稀な体質性黄疸として知 られ,直腸癌の合併の報告は少ない.DJS に対し直腸切除と肝切除を行った 1 例を経験 したので,若干の文献的考察を加え報告する. 索引用語:直腸癌,Dubin-Johnson 症候群,肝転移 はじめに Dubin-Johnson
more » ... は,直接ビリ ルビンの胆汁への分泌障害により引き起こされる遺伝 性抱合型高ビリルビン血症であり,体質性黄疸の中で も予後は良好であるとされる.本邦での最近の正確な 報告例の総数は不明だが,2003年の和田らの集計では 約400例が報告された 1) 比較的稀な疾患である.今回 われわれは,直腸癌手術時に偶然 DJS を発見し,直腸 癌および肝転移に対し手術を行った 1 例を経験したの で,文献的考察を加えて報告する. 症 例 患者:77歳,男性. 主訴:下血. 既往歴:20歳頃 黄疸を指摘されたが精査歴なし. 家族歴:特記すべきことなし. 嗜好歴:アルコール ビール 1 本 毎日.喫煙歴な し. 現病歴:上記主訴で前医を受診し,直腸癌が疑われ 当院紹介受診となった. 来院時現症:身長162.6cm,体重62.7kg. 来院時検査所見:直接ビリルビン優位の黄疸を認め たが,肝逸脱酵素の上昇は認めなかった(Table 1) . 下部消化管内視鏡検査所見:肛門縁より15cm の直 腸 S 状部に 3 cm 大の 2 型腫瘍を認め,生検結果は adenocarcinoma であった. 造影 CT 所見:直腸 S 状部から上部直腸にかけて造 影効果を伴う壁肥厚を認め,内腔の狭窄を認めた.腫 瘍近傍に 6 mm 大の結節を認め,リンパ節転移と診断 した.また,肝 S6 の辺縁に約 2 cm 大の不整な淡い造 影域を認めた(Fig. 1a) .肝表面は平滑で肝腫大も認 めなかった. 手術①:硬膜外麻酔併用による全身麻酔下,砕石位, 5port で手術を開始した.全身麻酔にはフェンタニル, ロクロニウム,セボフルレンを用いた.肝は全体に黒 色に変化し,表面は粗造であった.直腸病変は RSRa に存在し壁深達度 T3 と診断した.腹腔鏡下低位前方 切除,D3 郭清術を行った(手術時間: 2 時間59分, 出血: 5 g) . 術後経過①:術翌日に飲水を開始し,離床を行った. 術後 4 日目に食事を開始した.術後 3 日目に総ビリル ビン値11.5mg/dl,直接ビリルビン値6.0mg/dl まで上
doi:10.3919/jjsa.77.1513 fatcat:5qrmcdlmevf4jm7pynfho4lthu