Activities on Development of ISO/DIS 16554 : Measurement and Reporting of Underwater Sound Radiated from Merchant Ships
船舶水中放射音の測定に関するISO規格(ISO/DIS16554:商船から水中に放射される水中音の測定と報告)の動向

Koichi Yoshida
2016 Marine Engineering  
1-日本マリンエンジニアリング学会誌 第 00 巻 第 00 号 (2005) 1. はじめに 国 際 海 事 機 関 ( IMO: International Maritime Organization)では,2008 年から,商船が発信する 水中騒音の水中生物(主に海洋性哺乳類)への影響の 検討を開始し,2014 年に,商船が発信する水中音の低 減に関するボランタリー・ガイドラインを発行した. 国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)は,IMO の動向に呼応して,商 船が発信する水中音の測定方法に関する ISO 国際規 格の作成を,ISO/TC8(船舶海洋技術)・SC2(海洋環境 保護)において行った. 本稿は,これらの動向を紹介する. IMO: International Maritime Organization started consideration on impact of underwater noise emitted from commercial ships to marine
more » ... fe, and developed and issued voluntary guidelines for the reduction of underwater noise from commercial shipping to address adverse impacts on marine life. ISO: International Organization for Standardization, in responding to the activities of IMO, developed an International standard on measurement and reporting of underwater sound radiated from merchant ships. This paper presents these activities in IMO and ISO. 2. IMO における経緯 国 際 海 事 機 関 ( IMO: International Maritime Organization)では,近年の旅客船の遠隔地クルーズ の増加及び極海域における一般商船の航行の拡大と増 加が,一部の海洋ほ乳類の生息状況に影響していると の環境団体等からの報告に鑑み, 2008 年の海洋環境保 護委員会(MEPC58)から,米国提案により,本件の 検討を開始した.この議論では,商船が発信する水中 音が,水中生物,特に海洋性哺乳類に影響を与えてい るという科学的な根拠は証明されず,その影響の有無 について意見が分かれたが,商船が発信する水中音を 低減する技術的なガイドラインを作成することには賛 成が集まり,そのようなボランタリ-・ベースのガイ ドラインを作成し, 2012 年 3 月の MEPC66 会議にお いて最終的に採択し,発行した 1) . このガイドラインは,船舶が発信する水中音(船体 振動,プロペラ・キャビテーションを主な音源とする) の予測方法,これらを低減する方法,水中音の発生を 抑える船舶の運航方法などを記述した,技術的なガイ ドである. IMO の議論の中では, 船舶が発信する水中音の技術 的な定義(音圧レベルの定義等)及び測定方法につい ては,技術的な議論が十分に行われず,ISO がこれら に関する国際規格を作成することを期待した. IMO では, 以上で本件については一応決着し, 2012 年以来は新たな動きはなく,船舶が発信する水中音に 関する法的な規制は議論されていない. 3. ISO における経緯 国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)の技術委員会 TC8(船舶海洋技 術)の中に設置されている SC2(海洋環境保護:著者 が議長)は,船舶が発信する水中音に関する IMO の 2008 年からの議論に呼応し, 船舶が発信する水中音の 測定方法に関する ISO 規格作成の予備的調査を 2008 年から開始し,2010 年の SC2 リスボン会議において 決議 152 によって,正式な ISO 規格作成作業(ISO 番号 16554 2 ) )を開始した.ISO/TC8/SC2 は,ISO 16554 の目指すところとして,造船所技術者が船舶の 完成・引き渡し前の公式海上試運転において,船舶が 発信する水中音を簡潔に測定することと定めた. 一方 ISO の中で,音響(Acoustics)を全般的に扱 っている技術委員会 TC43(Acoustics)が,水中音の 測定もその所掌の範囲であるという主張を開始し, TC8 と TC43 のいずれが本件 ISO 規格を作成するか が論争になった. 最 終的に は, ISO の 技術 管理ボ ード ( TMB: Technical Management Board)が,決議 114/2012 によって仲裁し,TC8SC1 の中に TC43SC3 も参加す
doi:10.5988/jime.51.509 fatcat:paa7kuxmznbybdvrrzqijmm464