A Japanese literature review on the work continuation of mid-career nurses: Focus on the reasons for leaving and career continuation
中堅看護師の職業継続に関する文献検討-「離職」と「職業継続」の理由に焦点をあてて-

Saori Nakano, Yukie Iwasa
The Journal of Nursing Investigation  
徳島大学大学院保健科学教育部 2 ) 徳島大学大学院医歯薬学研究部 キーワード:中堅看護師,職業継続,職務継続,離職,ストレス・マネージメント 要 旨 目的:本研究は,日本における中堅看護師を対象にした先行文献から,中堅看護師の離職と 職業継続に影響を与える要因を明らかにし,職業継続支援への示唆を得ることを目的とする. 方法:文献は, 「医学中央雑誌Web(ver.5)」 , 「メディカルオンライン」 , 「CiNii」を使用し, 「看護師 and離職」 , 「中堅看護師and離職」 , 「中堅看護師and職業継続」 , 「中堅看護師and職務継続」 というキーワー ドで検索をした.検索の範囲は,2005年から2017年までとした.対象文献は, 「辞めたいと思った理 由」 と 「働き続ける理由」 について記載がある21文献で, 「辞めたいと思った理由」 と 「働き続ける理由」 を類似性に基づいて帰納的に分類し,カテゴリー化を行った. 結果:中堅看護師が 「辞めたいと思った理由」 として, 【キャリアプランとの不一致】 【やりがい不足】 【人 間関係によるストレス】 【労働環境が悪い】
more » ... 【看護実践能力についての不安】 【自己効力感の形成阻害】 【特に働き続ける理由がない】のコアカテゴリーが抽出された.また,中堅看護師が「働き続ける理 由」として, 【キャリアプランとの一致】 【やりがいがある】 【良好な人間関係】 【労働環境が良い】 【看 護実践能力についての自信】 【自己効力感を高める体験】 【特に辞める理由がない】 【ストレス・マネー ジメント】のコアカテゴリーが抽出された. 考察:看護師が離職を考える要因には,キャリアプランや,仕事のやりがい,職場の人間関係,職場 の労働環境,自身の看護実践能力と自己効力感が大きく関わっており,それらは共通して職務継続の 要素にもなっていた.しかし,ストレス・マネージメントは,職業継続にだけみられる要因であり, 効果的なストレス・マネージメントは,離職を思い留まらせることが示唆された.中堅看護師の職業 継続には,ストレス・マネージメントに着目した支援が重要である. た割合が全体の75.7%に上っていた.慢性的な看護師不 足の中,看護師の定着化への支援が喫緊の課題となって いる.池田ら 2 ) の調査結果では,経験年数 3 年以上 5 年 未満の看護師の離職願望が最も高かった.金井ら 3 ) の報 告では経験年数 3 年未満の看護師の離職願望が高いこと が示されている.岡田ら 4 ) は,中堅看護師は所属部署の 活性化を図り,良質な看護を提供するために看護実践の 中心的役割を担っており不可欠な存在としている.以上 の結果より,中堅看護師を対象とした離職防止対策を構 築する必要性があるが,新人看護師を対象とした研究に 比べて中堅看護師を対象とした研究は少ない現状 5 ) があ 常勤看護職員の離職率は近年10%台の横ばいで推移し ており,2015年病院看護実態調査 1 ) では,10.9%であっ た.看護職員数の充足状況の調査では,自院の看護職員 数について「不足感がある」 「やや不足感がある」と答え 研究報告 2018年11月5日受付 2019年3月6日受理 別刷請求先:中野沙織,〒770-8509 徳島市蔵本町3丁目18-15 徳島大学大学院保健科学教育部 保健学専攻看護学領域(看護教育学分野)
doi:10.32273/jni.16.1-2_10 fatcat:hzcq77k3zre6blew5zbp7bbwpy