Imaging of underground structure using receiver function for P-S converted waves —Exploitation of both natural earthquake and refraction survey data—
レシーバ関数解析によるP-S変換波を用いた地下構造イメージング—自然地震および屈折法探査データの利用—

Subaru Tsujimoto, Hitoshi Mikada, Eiichi Asakawa, Tada-nori Goto, Kyosuke Onishi
2010 BUTSURI-TANSA(Geophysical Exploration)  
地殻構造の推定は,日本の弧状列島に関する造構史を明らかにする,あるいは地震,火山噴火,そ れに伴う津波発生など,将来的なテクトニック活動を探る上で大切である。深部地殻構造推定では, 屈折法探査や反射法探査が実施され,主として得られた記録の上下動成分が使われているが,水平動 成分の記録迄含めて解析することでより詳細な地殻構造推定の可能性が生まれる。この目的のため, 人工震源ではなく自然地震の S 波を利用し地震波速度不連続面の位置を推定するレシーバ関数に着目 した。本研究では,地震ではなく,人工震源を用いた屈折法探査データを使用したレシーバ関数解析 による地下構造イメージングを試みる。データの処理では,まず時間マイグレーションにより変換点 をみかけの位置から真の位置に移動させることが必要である。これは,イメージングの対象となるヘ ッドウェーブからの P-S 変換点が,反射法探査データの場合の反射点と異なるためである。次に f-k マイグレーションにより時間マイグレーションを適用したレシーバ関数を深度変換する。最終的に,
more » ... 1 つのセクションを作成 する。本研究の結果は,レシーバ関数解析が地下構造イメージング手法として屈折法探査データに適 用可能であることを示すだけでなく,レシーバ関数を用いることで,自然地震観測や屈折法探査など 異なる手法で得られたデータを統合可能であることを示している。 キーワード:地下構造イメージング・レシーバ関数・屈折法探査・自然地震・マイグレーション 1. はじめに ユーラシア,太平洋,フィリピン海や北米プレートが 衝突する複雑なテクトニクス環境に位置する日本は,地 震等の大規模地殻変動現象の多発地帯である。地震の発 生メカニズムの研究や地震による災害予測, 火山活動や, 大規模地殻変動現象の周期性の解明など,防災に関連す る地球科学的研究は,我が国の安全保障の問題の一つと して強く認識されている。こうした地球科学的研究にお いて,地震波の伝搬する地殻の構造は,地球科学上のテ ーマとして必要不可欠であることは疑う余地もない。地 殻構造を推定することは,防災に重要な地震・火山活動 等の大規模地殻変動現象の基礎研究にとり必須の手段な のである。このため,近年では探査を目的とした人工地 震探査や自然地震の記録取得が継続して行なわれ,反射 法地震探査や屈折法地震探査のデータ解析手法が適用さ れるだけでなく,地震波の走時トモグラフィや減衰トモ グラフィ,地震波干渉法,など枚挙に暇のない程の数々 の手法適用の試みが行なわれている。こうした手法の中 で,レシーバ関数法は,専ら自然地震を三成分地震計で 取得した場合に適用される手法であり,商業化された 数々の地震探査手法の中で物理探査として馴染みの薄い 1. はじめに ユーラシア,太平洋,フィリピン海や北米プレートが 衝突する複雑なテクトニクス環境に位置する日本は,地 震等の大規模地殻変動現象の多発地帯である。地震の発 生メカニズムの研究や地震による災害予測,火山活動や, 大規模地殻変動現象の周期性の解明など,防災に関連す る地球科学的研究は,我が国の安全保障の問題の一つと して強く認識されている。こうした地球科学的研究にお いて,地震波の伝搬する地殻の構造は,地球科学上のテ ーマとして必要不可欠であることは疑う余地もない。地 殻構造を推定することは,防災に重要な地震・火山活動 等の大規模地殻変動現象の基礎研究にとり必須の手段な のである。このため,近年では探査を目的とした人工地 震探査や自然地震の記録取得が継続して行なわれ,反射 法地震探査や屈折法地震探査のデータ解析手法が適用さ れるだけでなく,地震波の走時トモグラフィや減衰トモ グラフィ,地震波干渉法,など枚挙に暇のない程の数々 の手法適用の試みが行なわれている。こうした手法の中 で,レシーバ関数法は,専ら自然地震を三成分地震計で 取得した場合に適用される手法であり,商業化された 数々の地震探査手法の中で物理探査として馴染みの薄い
doi:10.3124/segj.63.485 fatcat:6alrxylznjc2jl75afweh4o6ui