家庭科,技術・家庭科における食に関する指導の充実

Kyoko Tsutsui
2011 Journal of Cookery Science of Japan  
はじめに 平成 7 年に食育基本法の制定以降,子どもたちの生活 や学習の基盤としての食育の推進が求められ,各学校にお いて進められている。今回の改訂においては,小学校及び 中学校学習指導要領の第一章総則に「学校における食育の 推進」を位置付けるとともに,関連する教科等において, 食育の推進に関する記述を充実させている。 家庭科, 技術・ 家庭科は,これまでも食にかかわる教育を中心的に担って きた教科であるが,今回,教科名が明記されたことを踏ま え,次の つの視点から,これまで以上に食に関する指 導を充実させる必要がある。 ① 家庭科,技術・家庭科の食に関する指導の一層の充 実を図ること。 ② 家庭科,技術・家庭科などの食に関する指導を中核 として,学校の教育活動全体で一貫した取組を推進 すること。 ②の学校の教育活動全体で一貫した取組とするために は,食に関連した内容をもつ教科に示されている指導内容 を十分把握し,食育の全体計画を作成すること,学校給食 や総合的な学習の時間等で指導する内容と教科の学習との 関連を図ること,食に関する指導を各学年の発達段階に応
more » ... 地域と連携して実践力を育て る取組とすることなどが大切である。 本稿においては,①の家庭科及び技術・家庭科の学習指 導要領の食に関する内容と特定の課題に関する調査(技 術・家庭)の結果をもとに,小学校及び中学校の食に関す る指導を充実させるための指導の改善について考察する。 (33) 日本調理科学会誌 Vol. ,No. ,33~38(0) 〔講座〕 8 日本調理科学会誌 Vol. No. (0) 理,安全・衛生,食文化等の学習内容が小・中・高等学校 の発達段階に応じて,系統的・体系的に指導されているこ と,最終的には食生活を工夫しようとする実践的な能力や 態度を育むことをねらいとしていることである。これらを 踏まえ,食生活を家庭生活の中で総合的に捉えるという家 庭科,技術・家庭科の特質を生かして,家庭や地域との連 携を図りながら, 食育の充実に取り組むことが求められる。 ここでは,小学校・中学校における食に関する指導内容 (資料 )についてさらに詳しく述べることとする。
doi:10.11402/cookeryscience.44.343 fatcat:wmpwbjf7vbf4hdmki3r5fc2e6e