Report of the 2016 Annual Meeting on JAWE
平成28年度一般社団法人日本風工学会年次研究発表会・社員総会報告

Hiroshi HASEBE
2016 Wind Engineers JAWE  
平成 28 年度一般社団法人日本風工学会年次研究発 表会および社員総会が,平成 28 年 5 月 25 日(水)に 東京大学本郷キャンパス山上会館で開催された。本年 は日本風工学会の前身である日本風工学研究会が設立 されてから 40 年を迎えることから,社員総会に引き 続いて,一般社団法人日本風工学会 40 周年記念式典・ 祝賀会が開催された。 今年度は,隔年で実施されるオーガナイズドセッシ ョン形式の順番であり, 「近年の突風被害の実態と被害 低減に向けた取り組み」と「構造物の設計風速の評価 方法と実務への応用」と題した 2 つの企画セッション が設けられた。年次研究発表会の参加者数は 89 名で あった。 企画セッションの 1 つ目は, 「突風被害評価研究会 (主査:丸山敬 京都大学防災研究所 教授) 」 の活動報 告であり,近年の竜巻やダウンバーストなどによる突 風の被害実態の報告,突風の風速推定のために 2016 年 4 月から運用が開始された「日本版改良藤田スケー ル」の策定経緯,特徴および利用方法の紹介,突風の 被害低減に向けた取り組みの紹介があった。
more » ... 趣旨説明がなされ,その後 佐々浩司委員(高知大学)により「突風被害の実態」 と題して,主に高知平野での突風被害を例として,被 害状況から推定される風向などから突風事例を読み取 る視点が説明された.さらに,つくば市と越谷市で発 生した竜巻被害を例とした建築物の被害発生メカニズ ムの説明がなされた。 続いて,田中恵信委員(気象庁)より,日本版改良 藤田スケール(以下 JEF スケール)の策定経緯の説 明,利用方法の紹介がなされた。JEF スケールは米国 の改良藤田スケールを参考に,日本の建築物等に対応 するよう改良され,30 種類の Damage Index(DI)お よび各 DI に対応する Degree of Damage(DOD)に 基づいて始めに風速を推定し,その後階級を評定する 手順となることが説明された。 最後に,野田稔委員(徳島大学)より,被害低減に 向けた取り組みとして,前田潤滋委員(九州大学)ら による風速急変時の風力および急激な気圧降下時の差 圧力に関する実験結果,丸山主査による非定常な渦状 流れ場における物体の飛散シミュレーション結果,野 田委員らによる飛散物の画像解析に基づく風速推定事 例,数値流体解析を用いた漏斗雲の画像から竜巻の特 性パラメータを同定する方法が紹介された。 企画セッションの 2 つ目は, 「構造物の耐風設計用 設計風速研究会 (主査: 松井正宏 東京工芸大学 教授) 」 の活動報告であり,耐風設計に関連する基規準類の歴 写真 1 会場内の様子 平成 28 年度一般社団法人日本風工学会年次研究発表会・社員総会報告
doi:10.5359/jawe.41.250 fatcat:lns4f5ojtzeihcffg2wbryw2va