ポスターセッションⅡ

2018 Nihon Kessho Gakkaishi  
複合アニオン化合物は特異な配位構造や結晶構造が得られるた め、革新的機能・物理現象が出現する可能性が秘められている。最 近報告された A3Sb4O6F6 酸フッ化物 (A = Co, Ni, Zn, Mn)では, 室温 で対称中心を持たず、Sb 3+ イオンが孤立電子対を有している構 造であることが報告され, 1 A = Co においては低温下で特徴的な構 造相転移を示すことが明らかになっている。 今回我々は, 水熱反応法による新規酸フッ化物 Fe3Sb4O6F6 の合 成に成功し, 精密結晶構造解析を行った。実験は SPring-8 の BL02B2 で高エネルギーX 線を使用した High-Q の回折データ(d ≥ 0.35Å)を 30 K ~ 400 K までの温度領域で収集した。また, 室温での XAFS 測定, 高圧下 X 線回折実験も行った。 室温での結晶構造は A3Sb4O6F6 で報告されている結晶構造と考 えられたが, 図に示すとおり温度減少に伴い約 180 ~ 130 K の領域 で, A3Sb4O6F6 系では観測されていない多段の構造相転移(Cubic →
more » ... tragonal → Trigonal) を観測した。さらに, Tetragonal 相において超 格子反射が出現し, その超構造は c 軸方向に変調ベクトルをもつイ ンコメンシュレートな構造だと考えられた。結晶構造解析の結果, Fe[O2F4]八面体において特徴的な熱振動も観測されるとともに, 低 温でそれら八面体が大きく歪んでいることが明らかとなった。また, 高 圧下においては約 3GPa 以上で, それらの結晶構造とは異なった新 しい構造相が出現することも見出した。当日は, MEM/Rietveld 法に よる結晶構造解析の結果とそれら構造相転移について報告する。 [1] S. Hu et al., Chem. Mater. 26, 3631 (2014). 図. 放射光粉末回折データの温度依存性, 矢印は超格子反射を示す.
doi:10.5940/jcrsj.60.s73 fatcat:3g45nnu3pjefxlwecsbp7rvzri