教養的教育科目『教養ゼミ』における大学博物館利用と学生による評価 : 広島大学の事例から <資料>

橋本 知佳
要旨:本報告では,前半で 2007 年度から 2012 年度までの教養ゼミでの利用状況を分析した。特に学部ごとの利用 頻度の違いについて,利用を制限する要因の相違を考察し,今後の利用推進に有効な資料とした。後半では,2010 年度から 2012 年度に渡って実施した学生へのアンケート調査を分析した。博物館の施設や展示への来館者視点で の評価を考察し,来館者が快適に過ごせる空間作りの重要性を認識した。さらに,同調査により教養ゼミで総合博 物館を見学することの意義と成果を確認した。その結果,教養ゼミへの対応は今後も継続して実施するべき重要な 活動であると評価した。 キーワード:広島大学総合博物館,授業利用,団体見学,教養ゼミ,大学生,アンケート調査 1 広島大学総合博物館;Hiroshima University Museum 広島大学総合博物館研究報告 Bulletin of the Hiroshima University Museum 4: 73-82, December, 25, 2012 Ⅰ.はじめに 広島大学総合博物館では,見学団体に施設の主旨や
more » ... の主旨や 展示内容をより深く理解してもらうために,スタッフ による解説を行っている。年間 100 件前後の団体利 用があるが,その中で 2 割弱を占めるのが,学部の新 入生を対象とした授業「教養ゼミ」 1) での博物館施設 の利用である。 広島大学総合博物館は 2006 年 11 月に展示の拠点 となる本館 2) がオープンした。また, 2008 年 4 月には, キャンパス内の河川に沿った里山環境を残すエリアに 自然散策道"発見の小径"を整備し,本館と連携して "キャンパスまるごとミュージアム構想"に従って活 動を続けている。総合博物館の展示内容や解説は,広 島大学の歴史や研究,またキャンパスを含む身近な地 域の自然や環境などをテーマにしているため,新入生 を対象とした教養ゼミにとって,特に有意義であると 考えられる。 総合博物館の教養ゼミへの対応は,2007 年度に始 め,以後 2012 年度まで 6 年間継続して行ってきたが, 利用数は年々増加してきている。総合博物館が実際に 行う作業は,教養ゼミ担当教員への周知と申し込みへ の対応,そして利用時の解説である。まず教養ゼミで の利用を促進するため,新年度が始まるまでに,全学 部の教養ゼミ担当教員に向けてチラシ(図 1)と電子 メールで広報を行っている。利用を希望する教員は, 個別に総合博物館へ問い合わせ,申し込みを行う。申 込期限は設けておらず,1 セメスターが終わる 7 月末 まで随時受け付けている。これは,学部ごとに授業の 計画性に違いがあるため,申込時期も旧年度内から実 施の前週まで多様であることに対応している。授業時 の解説は,基本的に 2 グループを同時に実施すること はなく,1 グループに対して一名の博物館職員が担当 し,約 40 分の解説を行っている。 本報告では,2007 年度から 2012 年度までの教養ゼ ミでの利用状況を分析する。団体数や入館者数と,そ の所属学部などの検討により利用者の傾向を明らかに し,さらに今後に向けた課題を明らかにする。また, 2010 年度以降に教養ゼミで来館した学生を対象に実 施してきたアンケート調査の結果を分析する。アン ケート結果により,博物館に対する学生,特に新入生 からの評価・感想などを提示した上で, それを分析し, 博物館本館の施設や展示,その他について現状を見直 し,今後の課題を明らかにしたい。広島大学総合博物 館では,教養ゼミについての評価は本報告が初めてで 資料 Data
doi:10.15027/34535 fatcat:z6il4n75xrc5fffnasri3gh5su