Current State of Drug Delivery System for Gastroenterological disease
消化器疾患に対するDDSの現況

Nobuyuki Matsumoto, Fumio Ito
2012 Drug Delivery System  
In this article, we will discuss several technologies of drug delivery system, which are related to drug induced gastrointestinal mucosal injury, treating inflammatory bowel disease, interferon preparation in treating viral hepatitis, an MRI contrast agent to detect hepatic tumors, and an anticancer drug for the treatment of hepatodellular carcinoma. はじめに DrugDeliverySystem (DDS)に関わる技術と消 化器領域における主な臨床応用を図 1 に示した。 本稿ではまず、DDS のさらなる進歩が望まれるも のとして各種経口薬における DDS を取りあげた。 経口内服薬による消化管粘膜障害の軽減は治療効
more » ... 吸収改善と体内分布の制御 を目指した DDS の例として炎症性腸疾患に対する 徐放型 5-aminosalicylicacid (5-ASA)製剤、ウイ ルス性肝炎治療における Interferon (IFN) 製剤の Polyethylenglycol (Peg) 化について概説する。体 内分布の制御技術の例として、正常肝細胞特異的に 取り込まれる MRI 造影剤と、肝細胞癌加療におけ る動注化学療法と動注用抗癌剤での DDS 技術につ いて概説する。 経口投与薬による消化管障害と DDS 日常臨床において最も一般的な薬剤投与経路とし て経口投与が挙げられる。全身投与を考えた時、血 管内投与と比較して簡便で、 外来加療に適しており、 多くの薬剤が経口剤として投与されている。経口の 錠剤、カプセルにおいては、最適な薬効を得るため に ①:保存期間中の光、酸化、吸湿による分解 ②:pH の影響による失活の防止 (腸溶性製剤など) ③:徐放化による至適薬物血中濃度のコントロール と服薬回数の軽減 (徐放性製剤) ④:胃腸障害などの副作用防止(フィルムコーティ ング錠など) などの点を考慮として剤形の設計がなされている。 一方、疾患や加齢のため嚥下機能障害を呈している 症例では、 経口投与継続が困難な場合が少なくない。 このような症例においては、患者年齢、状態に応じ、 やむを得ず、錠剤の粉砕やカプセル剤の開封により 薬剤を投与する場合がある。このため、粉砕、開封 投与の可否については一剤ずつ検討が必要であると 同時に、副作用、薬効への配慮が必要となる。現在 では粉砕、開封の可否を一覧とした書籍も出版され ている。 また、上記④の点が考慮されているにもかかわら
doi:10.2745/dds.27.116 fatcat:y4him6ufgvecjawg4f7c5gzcfu