1 国立環境研究所・資源循環・廃棄物研究センター 2 京都大学大学院・地球環境学堂 概 要 津波堆積物の環境安全性評価手法の開発を目的とし,溶出する金属元素のテーリング現象の予測を実用的 なものにする非線形移流分散解析の簡易計算手法を提示した。液固比バッチ試験で得られる吸脱着パラメ ータを入力条件とし,移流分散方程式の理論解を応用することで,非線形式の Freundlich 式や Langmuir 式 を用いた場合のカラム溶出試験の浸出水濃度の予測を,汎用の表計算ソフトを用いて実現した。ここで用 いられる吸脱着パラメータを得るためには,液固比を変えたバッチ溶出試験が有効であることが確認され た。さらにカラム出口における浸出水濃度を,有限要素解析と簡易計算手法の両面から比較したところ, 簡易計算手法の精度は,本カラム溶出試験の場合で相対誤差 7.0%以下と評価された。 キーワード:移流分散解析,吸脱着モデル,溶出試験,カラム試験,遅延係数 地盤工学ジャーナル Vol.15 , No.3 , 497-508 原稿受理日: 2019 年 12 月 31 日,採用決定日: 2020 年 6 月 15 日