Waterless手術時手指消毒法の有用性
Utility of Surgical Hand Antisepsis Using Waterless Method

Junji OKUNISHI, Yuji WADA, Shigeharu OIE
2010 Japanese Journal of Infection Prevention and Control  
2010 年 5 月 6 日 受付・2010 年 6 月 10 日 受理) 要 旨 近年普及しつつあるアルコールラビング剤を用いた手術時手指消毒手技(ウォーターレス法)の有 用性について,当院内の医療従事者 38 名を対象に評価を行った.まず,ウォーターレス法と院内 で従来行われているスクラブ剤とアルコールラビング剤を用いた手術時手指消毒手技(2 剤併用法) の消毒効果をグローブジュース法で比較した結果,手指菌数は消毒直後,消毒 3 時間後の何れの 場合も消毒前より有意に減少していた.但し,両手技間の消毒効果を菌数の指数減少値(平均 ±SD)で比較したところ,消毒直後ではウォーターレス法が 1.58±0.73,2 剤併用法が 1.24±0.76 と両者の間には差を認めなかったが,3 時間経過後ではウォーターレス法が 1.98±1.26 であった のに対して 2 剤併用法では 0.87±0.63 を示し,ウォーターレス法の方が持続効果で有意に優れて いた.また,ウォーターレス法を習得した看護師を対象に調査したアンケートではウォーターレス 法の印象が良好であったこと,および消毒 1
more » ... 良好であったこと,および消毒 1 回あたりの費用を試算した結果から示唆された経済 効果を考え合わせると,ウォーターレス法は手術時手指消毒の 1 手技として有用であることが示 唆された. Key words手術時手指消毒,ウォーターレス法,有用性 は じ め に 従来の手術時手指消毒はスクラブ剤を手指に適用して 指先から入念にブラッシングすることで一過性菌だけで なく常在菌も減少させ,10~17とも報告される術 中の手袋破損やピンホール発生時でも術野の清浄度を保 ち,手術部位感染のリスクを低減できるよう備えてい る 1~4) .しかし,過度のブラッシングは微細な擦過傷と 手荒れを引き起こし,手指皮膚の状態が変化することに よりブドウ球菌やグラム陰性菌,Candida 属の定着を増 加させる 5~9) ことから,手荒れを防ぐことは感染制御に おいて重要である.アルコールラビング剤による手指消 毒はスクラブ剤よりも手荒れを起こしにくく 5,10~12) ,米 国 CDC が 2002 年 に 公 開 し た " Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings"では,一般病棟の手 指衛生には目に見える汚れが無い場合にアルコールラビ ング剤が推奨され,手術時手指消毒の 1 手技としては 持続作用のあるアルコールラビング剤を用いた消毒法が 推奨された 8) .今回,我々は持続効果を有するクロルヘ キシジングルコン酸塩を含有する 0.5 w/v速乾性擦式 手指消毒剤を使用して,日本の医療現場におけるアル コールラビング剤による手術時手指消毒手技(ウォー ターレス法)の有用性を調べた.なお,本研究では,現 行の手指消毒手技である 2 剤併用法(スクラブ剤と滅菌 ブラシによる洗浄消毒+アルコールラビング剤)とウ ォーターレス法による手指消毒効果の比較,ボランティ アへのアンケート調査および手術時手指消毒 1 回あた りの費用の試算の 3 項目について検討した. -218 --218 - Abstract Recently, waterless hand disinfection for surgical hand antisepsis has gradually been introduced in Japan. We evaluated the eŠectiveness and acceptability of alcohol-based hand rubs with waterless hand disinfection (waterless method) among 38 health-care workers in our hospital. First, e‹cacy of the waterless method for surgical hand antisepsis was compared with that of the 2-stage method by the glove juice test based on the FDA's tentativeˆnal monograph. As a result, the persistent eŠect of the waterless method was superior to that of the 2-stage method. Furthermore, the waterless method achieved higher acceptability than the 2-stage method through survey of subjects' evaluation from the viewpoint of preference and positive economic eŠects. Theseˆndings suggest that the waterless method for surgical hand antisepsis has both appropriate immediate and persistent bactericidal activity, meets eŠectiveness fulˆlling healthcare worker's needs and cost performance, and may be eŠective in clinical practice.
doi:10.4058/jsei.25.217 fatcat:nr4e445qrze3jpwc2zrrm2omjm