重症心身障害者(児)の断垢内日和見病原菌の検出状況を指標とした口腔ケアの評価
Evaluation of Oral Care Practice Based on Opportunistic Pathogens Identified in Dental Plaque of Adults/children with Severe Motor and Intellectual Disabilities

Mizue MORI, Masumi YAMAMOTO, Yoshiko SENDA, Reiko KARIYAMA
2010 Japanese Journal of Infection Prevention and Control  
2009 年 8 月 10 日 受付・2010 年 1 月 15 日 受理) 要 旨 療育センター入所中の重症心身障害者(児)を対象に,歯垢内に存在する日和見感染症の主たる原 因菌の検出状況を調査した.その後,検出菌種および菌数の減少を目的に,より消毒・除菌効果が 高いと期待できる口腔ケア方法に変更し,その効果を細菌学的に評価した.対象とした障害者(児) 56 名のうち 11 名は観察室,45 名はデイルームで医療・生活管理を受けていた.56 名中 24 名の 歯垢から,検査対象菌が 1 名につき 1~3 菌種検出され,主たる検出菌である MRSA(methicillin resistant S. aureus), Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescens の 3 菌種は,それぞれ 14 名(25.0 ),14 名(25.0),5 名(8.9)に検出された.このため観察室とデイルーム別に変更した口腔ケ ア方法を障害者(児)全員に実施し,これら 3 菌種のいずれかが検出された 20 名の追跡調査を行っ た.ケア変更前/変更 5
more » ... 行っ た.ケア変更前/変更 5 ヶ月後の概算菌数別検出者数は,MRSA(+++1 名/0 名,++2 名/0 名,+11 名/7 名),P. aeruginosa(+++8 名/0 名,++5 名/10 名,+1 名/2 名),S. marcescens (+++5 名/3 名,+0 名/1 名)であった.変更した口腔ケア方法は,歯垢からの検出菌種と菌数 の減少に一定の効果を認めたが,P. aeruginosa の除菌は困難であった.今後,重症心身障害者 (児)の個々の口腔内の状態や検出菌種および菌数に応じた口腔ケア方法の開発を行う必要がある. Key words重症心身障害者(児),歯垢,口腔ケア,P. aeruginosa,MRSA は じ め に 筆者らは気管内吸引を必要とする長期在宅療養患者を 対象とした調査を行い,気管内吸引カテーテルや歯垢か らの検出菌種を報告した 1,2) .具体的には,歯垢から Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescens, Klebsiella pneumoniae が高い割合で検出され,その 8 割が若年者 からのいわゆる重症心身障害を有する患者であった 1) . 重症心身障害者(児)は,脳・神経系の疾患により重度の 知的障害および身体障害のため,自身で口腔清掃ができ ない場合が多い.また,咳嗽による防御反応が低下し, 摂食・嚥下障害を有する障害者(児)も多く,誤嚥を起こ しやすい.そのため,気道内に口腔由来の微生物が進入 することにより,肺炎などの呼吸器感染症を起こす危険 性が高い 3,4) .口腔内に存在する Staphylococcus aureus, P. aeruginosa など日和見感染症の原因菌が,誤嚥性肺 炎に関与するとの指摘がある 5) .呼吸器感染症は重症心 身障害者の主要死因であり 6) ,誤嚥性肺炎を予防するた めに,口腔内の病原菌を除去することは極めて重要とな る.口腔内フローラを形成する日和見病原微生物は潜在
doi:10.4058/jsei.25.91 fatcat:gzeodrtetzgibayf7vtzic56hi