About "safety and efficacy of hydroxyethyl starch"
「ヒドロキシエチルスターチの安全性と有効性」に関して

Hideki Miyao
2015 Journal of the Japanese Society of Intensive Care Medicine  
編集委員長殿 本誌21巻3号 (2014年5月号) に掲載されました福島 らの総説 「ヒドロキシエチルスターチの安全性と有効 性」 1) を読みまして,冷静な分析力を高く評価します。 しかし,いくつか誤解に基づく記述があり,新しいイン フォメーションも含めて,本文中のいくつかの箇所に 対するコメントを追加させていただきたく思います。 1. 本文中 6S trial の使用薬剤を hydroxyethyl starch (HES)130/0.4 と記述されていますが,正しくは HES 130/0.42 です。これはポテト由来の HES で,トウモロ コシ由来のボルベン ® (HES 130/0.4,大塚製薬工場) と は 異 な り ま す。HES 130/0.4は98 % が 球 状 の amylopectin ですが,HES 130/0.42 は鎖状の amylose を 25%含み 2) ,特に腎臓への副作用が強いという報告 があります 3) 。 2. CHEST study において,HES 130/0.4 群におけ る透析施行率が有意に高かった,との記述は誤りでは
more » ... ,supplementary appendix の記述では, 重症度補正をすれば透析施行率は有意差がありません し,透析期間は有意差がなく,非常に短期間 (平均 0.39 日と 0.3 日で有意差なし) であります。 3. FIRST trial では鈍的外傷群の輸血投与量が生食 群 よ り 多 か っ た,鈍 的 外 傷 患 者 で は む し ろ HES 130/0.4 群では Cr が上昇傾向であった,という記述で すが,鈍的外傷の HES 群は生食群に比べて,割り付け 時の外傷重症スコアが有意に高かったためであると 思われます (割り付け時の injury severity score の 中間値は HES 群:生食群= 29.5:18 [P < 0.01] ,new injury severity score の中間値は 36:27 [P < 0.01] ) 。
doi:10.3918/jsicm.22.155 fatcat:5aqnvpvknve5jdeufzppqnsnkm