UASB Treatment of Methanolic Pulp Wastewater with Addition of Waste Starch and Incinerated Ash
UASB法による製紙工場メタノール含有廃水と廃棄物の複合処理

Shintaro TAKAHASHI, Takuro KOBAYSASHI, Yu-You Li, Hideki HARADA
2011 Journal of Environmental Conservation Engineering  
要 旨 製紙工場廃水はメタノールが主成分であり,UASB 法による処理が注目されている.一方,製紙工場では 廃でんぷんと焼却灰も発生している.これらの廃水,廃棄物を総合的に処理することが望ましい.本研究で は,ラボスケールの UASB リアクターを用いて, メタノール含有廃水とでんぷん溶液との混合液, メタノー ル含有廃水と焼却灰との混合液の2系列の連続実験を行った.連続実験の結果,容積負荷がでんぷん添加系 16.0 kg/m 3 /d,焼却灰添加系14.6 kg/m 3 /d の条件で,平均 CODCr 除去率はそれぞれ Total 93.7%と Soluble 97.3%,Total 95.3%と Soluble 97.5%を達成した.4ヶ月以上の連続運転によって,でんぷん添加系,焼却 灰添加系共に1~2 mm のグラニュールが得られ,Methanomethylovorans 属の古細菌が優占していた. キーワード:UASB 法,メタノール,グラニュール,パルプ廃水,Methanomethylovorans 1.は じ め に UASB 法による嫌気性廃水処理技術は,余剰汚泥
more » ... 量が少なくかつエネルギー回収が可能なことか ら,様々な産業廃水処理に適用されている.製紙工業 のパルプ製造において発生する廃水はメタノールが主 成分である.メタノール廃水 UASB 処理で形成され るグラニュールは,径が小さく沈降性が低いことが報 告されている 1-3) が,この原因はメタノールを利用す る微生物群集が単純であることによると考えられる. Nishio らは,メタノールを唯一の炭素源とした場合, メタノール資化性の Methanosarcina spp. が優勢とな りグラニュールは形成せず,メタノールと VFA の混 合基質を利用した場合は,Methanosaeta spp. の増殖 と良好なグラニュールの形成を確認している 4, 5) .ま た,Bhatti らはメタノール廃水に風化花崗岩を添加し た基質を UASB リアクターで処理することで,花崗 岩を核源としてグラニュールが形成されたと報告して いる 6) .このように,メタノール含有廃水と他の物質 との混合処理は,微生物群集構造を複雑化し,グラ ニュール形成促進に寄与すると考えられる. 製紙工場では,メタノール含有廃水だけでなく,処 理工程で生じた廃でんぷんや焼却灰などがある.これ らの廃棄物を有機性廃水と同時に処理することができ れば,総合的な廃棄物処理を考えた場合,より効率的 である.上で述べた従来の研究を考慮すると,でんぷ んの添加は微生物相複雑化への寄与が期待される.焼 却灰の添加はグラニュールの核源として作用すること が期待される.このように,メタノール含有廃水とで んぷんや焼却灰との複合処理は,メタノール含有廃水 単独処理と比較してより高効率な処理を可能とする要 素を秘めている. 本研究ではラボスケールの UASB リアクターを用 いてでんぷん添加及び焼却灰添加系について UASB 処理の連続実験を行い,処理性能とグラニュールの形 成を検討した.また,グラニュールを構成する微生物 *東北大学大学院工学研究科 Shintaro TAKAHASHI, Hideki HARADA 2010年9月7日受付 ** (独) 国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター Takuro KOBAYASHI 2010年12月1日受理 ***東北大学大学院環境科学研究科 Yu-You LI -130-
doi:10.5956/jriet.40.130 fatcat:ot6e2erhrrbftdz7v47ouheaym