Sap flow velocity in Quercus serrata trees attacked by Platypus quercivorus
カシノナガキクイムシによるコナラ被害木の樹液流特性

Haruo Kinuura, Yuji Kominami, Kenichi Yoshimura, Ryohei Yamamoto
Jumoku igaku kenkyu  
京都府南部の木津川市に位置する森林総合研究所関西 支所山城試験地では,2012 年に初めてカシノナガキクイ ムシ(以下カシナガ)による穿入被害が確認された.そ れ以降徐々に被害が拡大し,2014 年には枯死被害が発 生したため,翌年の枯死被害木発生が予測された.そこ で,カシナガの穿入に伴うコナラ木部の樹液流変化を調 べるため,2015 年の穿入・枯死被害が予測されるコナ ラに対して樹液流測定装置を設置した.また一部のコナ ラには,近年農薬登録されたナラ枯れ予防殺菌剤を樹幹 注入した.今回は,穿入被害が確認されたコナラのなか から安定したデータの得られた,穿入前から夏季までの 樹液流の変化等について報告する. II. 材料と方法 使用した樹液流計測装置は,ヒートパルス法の一種で ある HRM(Heat Ratio Method)を用いたもので,汎用 マイクロコントローラー(Arduino)によって制御され た自作の計測メーターである. (小南ら,2014) .山城試 験地内に設置されている気象観測タワー(26 m)近くの 西向斜面における,カシナガ穿入未被害,および微被害
more » ... ガ穿入未被害,および微被害 のコナラ生立木 7 本について,この装置を 2015 年 5 月 下旬から 6 月上旬にかけて,胸高付近に各 1 セット設置 し,その後継続的(30 分毎)に樹液流速を測定した.ま た 6 月 12 日,3 本にナラ枯れ予防樹幹注入殺菌剤のウッ ドキング DASH (サンケイ化学社製) を,地際から 30 cm の位置に直径に合わせた標準量(20 cm 以下:2 ml, 20 cm 以上 5 cm 毎に 0.5 ml 増量)を注入した.その後,各 試験木についてカシナガの穿入状況を定期的に調査しな がら,コナラの外観上の変化等を観察した(表-1) .また 気温・日射量データは,気象観測タワー上部のセンサー によって 5 分毎に測定されているデータを使用した. III. 結 果 1. 全体の傾向 測定機器の不調等で一部の調査木において欠測期間が 発生したものの,カシナガの集中加害(マスアタック: 以下 MA)が発生した 7 月上旬までのデータは,各試験 木について得ることが出来た. 樹液流速は基本的に,昼間は高く夜間は低くなる日周 変動を繰り返していたが,気温・日射等から影響を受け ており,低温時・低日射量時には日中も流速が上がらな い場合が多かった(図-1~5) . 2. 薬剤注入の影響 殺菌剤注入を行ったコナラにおいて,注入日前後にお ける樹液流速の変化はほとんど見られなかった(図-3, 5) .また無処理のコナラと比較してもその変動パターン に差違が見られなかった(図-2,4) . 3. カシノナガキクイムシ穿入の影響 7 本の試験木中,未穿入であった 5 本について MA レ ベルの密度での穿入が発生した(表-1) .これらの MA
doi:10.18938/treeforesthealth.20.1_26 fatcat:feiziwllfrb6xc6ml5ktkypk2e