I-1. DNA species identification of pelagic fish eggs
I-1. 分離浮性卵の同定

TATSUYA KAWAKAMI
2015 Nippon Suisan Gakkaishi  
Lateolabrax japonicus など 5 種の卵は出現に季節性があること,ま た,イシガレイ Kareius bicoloratus など 3 種は湖内で, スズキなど 4 種は湖口部周辺で産卵していることが明 らかになった。 2) 外洋域に出現する魚卵の種組成と分布 外洋域に出現する魚卵の研究における DNA を用いた 種同定法の有効性を検討するため,2002 年 7~8 月に西 部北太平洋のマリアナ海域で採集した浮遊性魚卵に本法 を適用し,種組成と分布の解明を試みた。得られた計 5,321 個の浮遊性魚卵のうち,死卵を除く 2,698 個の卵 は形態で 108 タイプに分けられ,そのうち 88 タイプの 魚卵から 1 個ずつ選び 16S の配列を得た。 3) これらは 71 クラスタに整理され,うち 28 クラスタ(39)37 個 (42)が種に同定された。 2) そのうち 6 クラスタ(9) 9 個(10)は,複数種と高い相同性を示したため,属 または科として判別した。同定できた卵の分布を調べた ところ,カツオ Katsuwonus pelamis など 3
more » ... 種は海山近 傍で,アカマンボウ Lampris guttatus など 7 種は外洋域 の広範囲で産卵しているものと考えられた。 2,3) 卵の形態記載 浜名湖とマリアナ海域で採集され DNA で同定できた 54 種と,62 種類の種不明卵,また形態情報のみが得ら れた 31 タイプの卵の形態を記載した。 2) その結果,22 種の新規記載を含む,計 147 種類(浜名湖56 種類, マリアナ海域91 種類)の浮遊性魚卵で,形態による グルーピングを可能にした。 2) 以上から,DNA バーコーディングが魚卵の種同定に 有効であることが実証され,本法は分類学的研究だけで なく,魚類の産卵生態の解明において力を発揮すると考 えられた。今後,参照可能な DNA データを蓄積し,様 々な水域,分類群での有用性を高めていくことが必要で ある。 文 献 1) Hebert PDN, Ratnasingham S, deWaard JR. Barcoding animal life: cytochrome c oxidase subunit 1 divergences among closely related species. Proc. R. Soc. Lond. B. 2003; 270: S96 S99. 2) 川上達也.DNA を分類形質とした浮遊性魚卵の種査定と 初期発生に関する研究.博士論文,東京大学,東京. 2012. 3) Kawakami T, Aoyama J, Tsukamoto K. Morphology of pelagicˆsh eggs identiˆed using mitochondrial DNA and their distribution in waters west of the Mariana Islands. Environ. Biol. Fish. 2010; 87: 221 235.
doi:10.2331/suisan.81.472 fatcat:5dt2mzjprrfipmugfvnyxsap64