取調べ映像視聴時における視点と説示が評価に与える影響

花音 森井, 宏輔 若林
2021 The Proceedings of the Annual Convention of the Japanese Psychological Association  
。また取調べ映像は,自白の任意性判断のため に使用され,被告人供述の信用性や犯人性の判断に扱ってはならないと される。そこで本研究は,取調べ映像による自白の任意性評価と評価対 象についての裁判官説示の効果について検討した。1)前科情報の有無, 2)映像視聴前の説示の有無,3)異なる撮影焦点の取調べ映像を独立変 数とし,各条件の被告人供述と事件への評価を比較した。結果,自白供 述への CPB は追認されなかったが,前科情報が与えられた場合には自 白の任意性評価が高くなった(F(1, 115) =4.697, p=.032) 。また事件の 有罪無罪判断では,説示がある場合に有意に無罪判断が高くなり(χ 2 = 5.831 df=1, p=.016)説示の効果が示された。本研究は,説示によって 自白の任意性評価が左右されることはないものの,被告人の将来を決定 する評価において説示は効果を示すものであることを示唆する。
doi:10.4992/pacjpa.85.0_pe-009 fatcat:f5cmsyzrqrcormk5uw3amzuore