Current Trends in Analytical Technologies Which Promote the Development of Biopharmaceuticals

Akiko Ishii-Watabe, Susumu Uchiyama
2018 Yakugaku zasshi  
a 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部(〒210 9501 川崎市川崎区殿町 3 25 26) , b 大阪大学大学院工学研 究科生命先端工学専攻(〒565 0871 大阪府吹田市山田 丘 2 1 GSE イースト 7F) , c 自然科学研究機構生命創 成探究センター(〒444 8787 愛知県岡崎市明大寺町字 東山 5 1)  抗体医薬品を始めとするバイオ医薬品は,がんや 免疫系疾患等の治療に不可欠な存在となり,アン メットメディカルニーズを満たす新たなバイオ医薬 品開発への期待も,これまでになく高まっている. 近年,ヒトタンパク質の構造を高度に改変したバイ オ医薬品の開発が増えていることや,安全性との関 連が懸念される不純物の存在が指摘されていること 等から,開発候補分子の探索から市販後の品質管理 戦略の様々な段階で,先端的な分析技術を用いた品 質評価の重要性が増している.本シンポジウムで は,バイオ医薬品の分析に関する最先端の研究を 行っている産学官の研究者を演者に迎え,糖鎖,高 次構造,凝集体等の分析に関する研究のほか,バイ
more » ... 企業における 分析技術の最新動向について講演頂いた. 最初の演者として,中外製薬工業の齋藤 智博士 からは「抗体医薬品開発における重要品質特性 (critical quality attribute; CQA)の特定」について ご講演頂いた.ICH Q8(R2)で述べられているよ うに,医薬品は患者のニーズ及び意図された製品の 機能を満たすように設計されるべきである.CQAs の特定は,科学とリスクに基づく製品開発の体系的 な手法である quality by design(QbD)アプローチ に お い て , 最 初 の 重 要 な ス テ ッ プ で あ る . 各 potential CQAs のインパクトは,Bioactivity, Pharmacokinetics/Pharmacodynamics, Immunogenicity 及び Safety の観点で体系的かつリスクベースアプ ローチによって評価される.ご講演では,抗体医薬 品を始めとするバイオ医薬品の品質評価において用 いられている CQAs の特定方法及びそのための新 しい分析技術の例をご紹介頂き,QbD アプローチ を活用した品質管理戦略構築に関する考え方につい て議論した. 国立医薬品食品衛生研究所の橋井則貴博士からは 「質量分析による Fc 融合タンパク質医薬品の O-結 合型糖鎖部位特異的解析」についてご講演頂いた. 近年,生理活性ペプチドやレセプタータンパク質等 と IgG の Fc 部分を融合した Fc 融合タンパク質の 開発品目が増加している.Fc 融合タンパク質で は,各ドメインをつなぐためにペプチドリンカーが 用いられることがあるが,近年,CHO 細胞発現系 により産生された Fc 融合タンパク質において,生 理活性ペプチド配列やペプチドリンカー配列上に, O-結合型糖鎖が付加されていた例が報告されてい る.このような O-結合型糖鎖がタンパク質の機能 に影響を及ぼす事例も見い出されていることから, Fc 融合タンパク質などの非天然型構造を有するバ イオ医薬品では,意図しない O-結合型修飾が生じ る可能性を考慮し,開発過程で詳細な O-結合型糖 鎖解析を行うことが重要となっている.講演では, 糖ペプチドのペプチド部分を優先して解離させるこ
doi:10.1248/yakushi.18-00020-f fatcat:viwfkssnqnglzfjjczt6pbjrhy