Verification of DNA markers to estimate genotype at blast resistance loci Pia, Pii and Pik in rice

Yasunori Nonoue, Hiroyuki Sato, Takuro Ishii
2018 Ikushugaku kenkyuu - Breeding Research  
キーワード イネいもち病,真性抵抗性,DNA マーカー 緒 言 イネいもち病は,いもち病菌(Pyricularia oryzae)がイ ネに感染することで引き起こされる重要病害の一つであ る. いもち病菌に対するイネの抵抗性は,一般的に真性抵 抗性と圃場抵抗性に分けて考えられている.前者は一つ の抵抗性遺伝子によってある特定のレースのいもち病菌 には罹病しない完全な抵抗性を示し,後者は Pb1(Fujii et al. 2000, Hayashi et al. 2010)や Pi39(Liu X et al. 2007) のように一つの遺伝子で強い抵抗性を示すような遺伝子 も見出されているが,一般的に複数の遺伝子が関与し, 完全な抵抗性は示さないもののいもち病菌の変化による 極端な影響も受けにくく永続的な抵抗性であると考えら れている(Maruyama et al. 1983, Higashi 1995) . イネの品種登録では,いもち病真性抵抗性遺伝子型, 葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性の程度を明示するこ とが求められている(農林水産省品種登録ホームページ 2015)
more » ... 性抵抗性遺伝子型は,いもち病菌レー スが持つ非病原力遺伝子とイネ品種が持ついもち病真性 抵抗性遺伝子(以下,真性抵抗性遺伝子)の遺伝子対遺 伝子の関係に基づいて推定する.具体的には,複数のい もち病菌レースを各検定系統に接種(以下,接種法)後, 各レースに対する病斑型を判定し真性抵抗性遺伝子型の 推定を行なう(林 2005, 2015,山本ら 1996) .いもち病圃 編集委員:加藤 浩 2017 年 11 月 16 日受領 2018 年 1 月 9 日受理 2018 年 3 月 6 日 J-STAGE 早期公開 Correspondence: nonouey221@affrc.go.jp 場抵抗性(以下,圃場抵抗性)の程度は,真性抵抗性遺 伝子に対する親和性レースがイネの葉や穂などに及ぼす 罹病の程度を基準品種と対比することによって評価する. その基準となる品種は,それぞれの栽培地域の熟期およ び 3 つの真性抵抗性遺伝子座(Pia,Pii および Pik)の遺 伝子型で細かく設定されている (農林水産省品種登録ホー ムページ 2015) .従って,共通の尺度で圃場抵抗性の程 度を評価するためには,検定系統の 3 遺伝子座の遺伝子 型が推定されていることが必要である. 近年,真性抵抗性遺伝子座 Pia,Pii および Pik につい ては,遺伝子単離により遺伝子配列上の変異を利用した DNA マーカーがそれぞれ作出されている(Okuyama et al. 2011, Takagi et al. 2013, Zhai et al. 2011) .しかし,1)真性 抵抗性遺伝子型を推定する接種法が定着していること, 2)多様な対立遺伝子を利用する育種において DNA マー カーが接種法と同程度に遺伝子型を推定することができ るかが不明であること,などの理由から遺伝子を直接判 別できるにもかかわらずそれらの DNA マーカーはほと んど活用されていない. 一方,育種現場では,接種法が定着しているものの, いもち病菌の培養,接種および病斑型の判定に時間と手 間がかかるため,DNA マーカーを用いた簡易な遺伝子型 の推定手法の開発が求められている. そこで本研究では,3 つの真性抵抗性遺伝子座 Pia,Pii および Pik を対象とし,新たに開発した DNA マーカーが 接種法と同程度の精度を示すかどうかを検証した.すな わち,Pik と Pik-m マーカーを制限酵素処理の必要ない PCR ベースの DNA マーカーに改良し,既報の Pia と Pii マーカーと合わせて 4 つの DNA マーカーを用いて,供 試系統について 3 遺伝子座の遺伝子型を推定した.また,
doi:10.1270/jsbbr.17j15 fatcat:pnaos3blsvgltapi7zzzldhod4