Current Status of Pathological Diagnosis of Colorectal Neuroendocrine Tumor

Hiroshi Kawachi
2020 Nippon Daicho Komonbyo Gakkai Zasshi  
がん研究会有明病院臨床病理センター病理部,がん研究会がん研究所病理部 本邦の大腸 NET は後腸系に属する直腸原発が 90%以上を占め, Chromogranin A の陽性率が低いなど, 中腸系 NET とは異なる免疫組織化学的特徴がある.2019 年に発刊された消化器 WHO 分類にて NET 亜 分類の変更が行われ,旧版の増殖指数によるものから,細胞異型度や組織分化度などの組織学的所見と増 殖指数を組み合わせたものへ変更された.これにより,増殖指数の高い NET と,ゲノム異常や薬物治療 反応性の異なる高悪性度の神経内分泌癌とが明確に区別された.本邦の大腸癌取扱い規約では,以前から 両者を明確に区別する立場をとっており,新 WHO 分類は本邦の立場に近くなった.近年では,増殖指数 以外のバイオマーカーの報告も散見され,多因子の解析による,適切な治療戦略の確率が期待される.虫 垂杯細胞カルチノイドは,新 WHO 分類では虫垂杯細胞腺癌に名称変更され,NET とは別の腫瘍である ことが明確になった. :大腸,神経内分泌腫瘍,病理診断 本稿では, 大腸に発生する神経内分泌腫瘍
more » ... 大腸に発生する神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor,NET)の病理診断に関する現況 を整理する.本邦における大腸癌取扱い規約ではカ ルチノイド腫瘍の術語が使用されており, NET の定 義との間にずれが存在していたが,2019 年に改訂さ れた新 WHO 分類において NET の定義が変更され, 大腸癌取扱い規約のカルチノイド腫瘍と同義とみな すことができるようになった.本稿では,大腸癌取 扱い規約に関する記述のみ「カルチノイド腫瘍」を 用い,他は NET を使用したが,カルチノイド腫瘍 と読み替えていただいても問題ない. 1 NET 消化管 NET は,低異型度・低増殖能の腫瘍性内 分泌細胞から構成された低悪性度の癌腫に相当する. 消化管上皮幹細胞を由来とし,内分泌細胞への分化 能を有する幼若内分泌細胞からの発生が主要経路と 考えられている.NET と,Neuroendocrine carcinoma(NEC)は内分泌細胞的性格を有するという 共通点はあるものの,発生経路や細胞・組織所見, 悪性度など相違点も多く,両者を別の病態として厳 密に区別するべきである 1,2) .NEC(本邦では内分泌 細胞癌と呼ばれる)は,先行する腺癌や扁平上皮癌 細胞の内分泌細胞への二次的分化によるものと考え られ,高悪性度・高増殖能の癌腫に相当する. 2 NET 大腸 NET は,本邦では直腸原発が 94.2%を占め る 3) .多くは 10mm 未満の小型粘膜下腫瘍様病変と して発見される.腫瘍細胞は,発生初期には粘膜深 部~粘膜筋板に存在し, 腫瘍の増大とともに筋板内, 粘膜下以深へと進展する.腸管内腔側への発育傾向 に乏しく,非腫瘍粘膜上皮に覆われていることが多 い(図 1 a) .腫瘍径が大きい病変では,粘膜表面へ の腫瘍の露出による頂部のびらん,陥凹形成を認め る.弱拡大の組織像では腫瘍は境界明瞭な腫瘤にみ える 4) . 組織学的には,索状,リボン状,管状,小胞巣状, 充実性胞巣,などの名称で呼ばれるいくつかの典型 的な構築を示す(図 1 b) .これらの構築を示す腫瘍 細胞集塊に,線維血管性の狭い間質の介在を伴う. 腫瘍細胞は,核縁が整で,類円形~楕円形で大小不 同の目立たない比較的均一な核を有する.Salt and pepper と表現される, 粗大顆粒状のクロマチンを認
doi:10.3862/jcoloproctology.73.452 fatcat:qfo4j6wgdrbq5iapilrkzpf6pm