表情からの感情知覚における顔方向の影響

Tomomi Fujimura
2017 JAPANESE JOURNAL OF RESEARCH ON EMOTIONS  
目 的 感情を表現した表情刺激は,感情心理学研究のみならず, 認知科学や神経科学においても幅広く活用されている。本研 究では,日本人モデルを対象に,正面顔に加えて左右 45 度と 90 度方向から撮影した動画表情刺激セットを作成し,その妥 当性を検証することを目的とした。さらに,同一の表情表出 に対して顔方向によって知覚される感情の種類や感情強度が 異なるかも検討した。 方 法 ■参加者: 大学生 39 名(平均年齢 21.3 歳,SD = 2.4) 。 ■表情刺激: モデルは日本人 8 名 (男女各 4 名) であった。 表情の種類は,喜び,驚き,恐れ,怒り,嫌悪,悲しみ,興 奮,平穏,眠気を設定した。怒りと嫌悪については, 「口を閉 じる(閉口) 」と「口を開ける(開口) 」の 2 種類を設定し, 中性を加えて(静止画のみ) ,計 12 種類の表情カテゴリーと した。動画表情には,中性表情を 500 ms,表情の表出過程を 200 ms 含まれていた。リフレッシュレートは,29.97 fps で あった。静止画表情は,動画ファイルの最後の画像を切り出 したものとした。動画は
more » ... を切り出 したものとした。動画は mp4 ファイル形式,静止画は jpg フ ァイル形式で保存した。画像の大きさは,いずれも 600 × 800 pixels であった。顔の向きは,正面,右 45 度,右 90 度 (顔の左側面) ,左 45 度,左 90 度(顔の右側面)の 5 方向か ら同時に撮影したものであった。刺激は計 920 個であった。 ■手続き: 評定課題の実行とデータ収集はパーソナルコン ピューター (Dell, Inspiron 17) (リフレッシュレート:60 Hz) で行った。評定課題は,Affect Grid (Russell, Weiss, & Mendelsohn, 1989)と強制選択法を用いて行った。 Affect Grid では,快-不快,覚醒-睡眠で構成された 9 × 9 のマス目上 で表情が表す感情を評定するものである。強制選択法は,喜 び,驚き,恐れ,怒り,嫌悪,悲しみ,中性の中から,表情 に最も当てはまる言葉を 1 つ選ぶものである。 課題は, Affect Grid による評定と,強制選択法による評定の 2 つのセッショ ンに分け,施行順序はすべての参加者で同じであった。強制 選択法については,喜び,驚き,恐れ,怒り,嫌悪,悲しみ, 中性表情のみを対象とした。各セッションにおいて,顔の方 向ごとに 5 ブロックに分け,ブロックの施行順序は参加者間 でカウンターバランスをとった。ブロック間で自由に休憩を とることができた。1 試行では,表情刺激(2500 ms)が呈示 された後,評定画面になり,評定を行ってから「次へ」のボ タンを押すと次の試行へと移った。表情刺激の呈示順序は無 作為化したが,同一モデルの同一表情の動画と静止画は連続 呈示されないようにした。
doi:10.4092/jsre.24.supplement_ps16 fatcat:3lr7natscrg6xnsrcbjebjeee4