Local Landscape Issue Caused by the Solar Panels
太陽光パネルと景観

Noriko Akita
2016 Chiiki seikatsugaku kenkyu  
摘 要 太陽光パネルによる景観問題が急増している。太陽光パネルが景観面で課題となる要因として、第1 に、産業やコミュニティの変容・衰退を象徴すること、第2に、排他的土地利用であること、第3に、 周囲の土地利用との調和が図られていないこと、第4に、人間の視覚的特性として自然環境の中では太 陽光パネルを優先して捉えてしまうことが挙げられる。 これらの課題は屋外広告物や建築設備の景観問 題と共通性を持つ。課題解決のための手がかりの1つは、太陽光パネルが自然の恵みを享受して利益を 得ているということに対する認識の醸成にあるだろう。 Ⅰ 都市計画学と太陽光パネル 1. 空間形成施策としての都市計画 筆者の専門分野は都市計画である。 都市計画は 空間形成に関わる施策を対象としており、筆者自 身も、これまで土地利用や景観などの空間形成に 関わる計画や事業に関わってきた。2011 年の東日 本大震災以降は、津波で被害を受けた地域を花と 緑で支援する活動にも取り組んでいる。 東日本大震災で津波の被害を受けた海沿いの地 域の多くは、震災後、防潮堤が整備されることと
more » ... なっている。更に防潮堤の整備後も津波のリスク が一定以上あると想定される土地は、居住を制限 する災害危険区域に指定される。震災発生前まで 住民が日常的な生活を営んできた場所が災害危険 区域に指定された場合、被災後長期にわたって土 地利用が行われず、瓦礫を撤去しただけの状態で 放置されることが多い。しかし、震災によってふ るさとから離れざるを得なかったり、高台移転な どで別の場所に移動せざるを得ない住民にとって は、かつての暮らしの場が見捨てられた状態のま まになっていることは、二重の意味でふるさとの 喪失感を味わうこととなる。 こうした状況を少しでも緩和できないかと考え、 筆者は地域住民の方々とともに被災したエリアを緑 化し、将来の土地利用の方向性を模索する取り組み を続けてきた。東日本大震災では、津波により利用 が困難になった土地が多く発生したが、今後の人口 減少社会においては、わが国全体で低需要地が急増 し、津波被災地と同様に、これを誰がどのように管 理するかが深刻な課題になると考えられる。 太陽光パネルは、災害危険区域のように居住が困 難になった場所や、土地利用の需要が低い場所にお いて、比較的導入しやすい。そもそも、被災地の復 興における土地利用の基本的な考え方は、低平地に 立地していた住宅を高台に移転して居住の安全性を 確保し、住宅が移転した後の低平地を産業利用する ことで雇用を確保しつつ、居住地の持続性を確保す るというものである。このような復興の文脈の中で は、災害危険区域における太陽光パネルの設置は、 一見合理的な土地利用の一つであるようにも思われ る。しかし、この考え方が必ずしも適切でないこと を筆者は実際の被災地で痛感することとなった。
doi:10.20845/jircl.07.0_72 fatcat:ae3dpwa6fncgpcs62mzc2kmnfq