池本三郎樹木医による樹木診断および治療成果の検討
The studies of Tree Doctor, Mr. Saburo Ikemoto's tree diagnosis and his treatment results

Ryoko Kato, Isao Nakai, Tetuo Abe, Yoshio Yamaoka
2016 Jumoku igaku kenkyu  
樹木医制度では年々資格取得者が増える中で,豊かな 樹木診断・治療経験を持つ樹木医と若手樹木医との交流 の機会が少ない実態がある.そのため,個々の樹木医が 持つ知識や技術水準の向上が求められている. 本調査では,横浜市職員および樹木医として長年に亘 る経験を持つ池本三郎樹木医が,診断・治療した多数の 樹木の治療成果を総合的に評価し,効果的な治療方法に ついても検討した. II. 材料と方法 本調査では,池本三郎樹木医が現在までに樹木診断・ 治療を実施し,結果の残っている 50 件の内,神奈川県 横浜市と横須賀市に生育する 46 件を対象とした. 調査対象木の治療背景と,過去に実施した治療方法の 内容を詳しく知るため,当時の治療に関わっていた方々 へ聞き取り調査と池本三郎樹木医の報告(池本・山岡 2006,2007;池本ら 2011,2012,2015)を精査し,また, 生育状況の調査として「樹木診断様式(日本緑化セン ター 2009) 」の概況調査表,地上部の衰退度判定表,各 種被害調査表に従って外観診断を 6 月に実施した. III. 結果と考察 調査対象木は落葉広葉樹が 29 件,
more » ... 調査対象木は落葉広葉樹が 29 件, 常緑広葉樹が 14 件, 落葉針葉樹が 2 件,常緑針葉樹が 1 件であり,樹齢は 10~600 年であった.また, 植栽場所は公園, 校庭, 街路, 社寺,個人邸であった.樹種はクスノキ,ソメイヨシノ, ケヤキなど表-1 に示した 12 科 18 種であった.調査対 象木の被害は表-2 に示した 14 種類の被害であった. 調査対象木の地上部の衰退度判定の結果は図-1 に示 したように 46 件の内 37 件が衰退度区分Ⅰ(良) ,その他 の 9 件は衰退度区分Ⅱ(やや不良)である.池本三郎樹 木医の診断と治療の結果は 8 割以上の対象木が回復傾向 であるといえる. 落雷による被害のうち 9 件のクスノキは枯れた枝幹部 分の切除の実施により樹勢が回復し,全て衰退度区分Ⅰ (良)であった.このことから落雷による被害で枯れた クスノキは伐採せず,枯れた枝幹部分の切除のみで新た な枝の発達による樹勢回復が見込めるといえる. 18 件の心材腐朽被害のうち 12 件に縦穴式土壌改良, 9 件に不定根誘導の処置,8 件に腐朽部の切除,1 件に DO パイプの設置を実施した.その結果 18 件中 14 件で衰退 度区分Ⅰ(良) ,4 件で衰退度区分Ⅱ(やや不良)であっ た.治療開始当時に地上部の衰退度判定表による衰退度 評価を実施していない事例もあるが,当時の写真から判 断すると,いずれも治療開始当時より衰退度は回復傾向 にある.これらのことから縦穴式土壌改良と不定根誘導
doi:10.18938/treeforesthealth.20.2_101 fatcat:5jivfexl2zgmvf3yl4iog5blri