院内におけるインフルエンザ患者接触者に対するオセルタミビル予防内服の検討
Post-Exposure Prophylaxis with Oseltamivir for Infection Control of Influenza

Youko YAMASHITA, Kazushige ISHIBASHI, Mitsuko INABA, Yutaka IMAMURA, Junichi HONDA
2008 Japanese Journal of Infection Prevention and Control  
年,インフルエンザウイルス治療薬であるオセルタミビルに,条件付で予防内服の効能が 追加承認された.聖マリア病院では感染拡大の可能性が高いと ICT が判断した場合に,接触者に 対する予防内服を推奨することとした.しかし,2007 年,オセルタミビル服用後の異常行動によ る死亡例が相次いで報告された.今後のインフルエンザ院内感染防止対策の検討材料とするため, 過去 3 シーズンの予防内服の状況について調査を行った.予防内服の方法としては,オセルタミ ビルを 1 日 1 回 1 カプセル,原則として 5~7 日間経口服用とした.予防内服対象者は,2004/05 シーズンが 83 名,2005/06 シーズンが 57 名,2006/07 シーズンが 42 名であった.予防内服開始 後のインフルエンザ発症率は 13.3, 3.5, 2.4と減少傾向にあった.オセルタミビルの使用量 は,2006/07 シーズンに大きく減少した.各シーズンの迅速診断依頼数,スタッフのインフルエン ザワクチン接種率には変化がなかった.予防内服後の異常行動などの報告はなかった.オセルタミ
more » ... った.オセルタミ ビルによる曝露後予防内服を効果的に行うためには,発端者の早期発見が重要であると考えられた. Key wordsオセルタミビル,予防内服,インフルエンザ は じ め に インフルエンザは,インフルエンザウイルスを病原体 とする呼吸器感染症であり,高齢者やコンプロマイズド ホストにおいては重症化しやすく,院内感染防止の観点 からも重要な疾患の一つである.聖マリア病院は,敷地 内に介護老人保健施設を併設する総合病院であり,24 時間 365 日いつでも応じる救急医療を病院理念として いる.冬季には昼夜を問わずインフルエンザ様呼吸器感 染症患者が訪れ,感染力の強いインフルエンザの院内感 染防止は,ICT にとって重要課題の一つである. 2004 年 7 月,抗インフルエンザウイルス薬であるオ セルタミビルに,インフルエンザに対する予防効能が追 加された 1) .そこで,2004 年 10 月より,院内で発症し たインフルエンザ患者の接触者に対し,感染拡大の可能 性があると ICT が判断した場合に,オセルタミビルの 予防内服を実施することとした. 2007 年に入り,オセルタミビル服用後の異常行動に よる死亡事例が続けて厚生労働省より報告された.厚生 労働省は,因果関係は不明であるとしながらも,3 月 20 日に発売元である中外製薬に対し,10 歳以上の未成 年の患者においては原則として使用を差し控える内容 で,添付文書を改訂するよう指示した 2) .当院では院内 感染防止委員会において検討した結果,インフルエンザ 感染症を診察する際の注意文書を作成し,オセルタミビ ルを服用するか否かについて,患者の意思確認を書面に 残すこととし,院内感染防止のための予防内服に関して も,同様の手続きを取ることを決定した. 今後,インフルエンザの院内感染防止対策を推進する 上で,オセルタミビルを適正に使用するため,当院にお ける過去 3 シーズンのオセルタミビル予防内服の状況 について調査,解析を行った.
doi:10.4058/jsei.23.135 fatcat:xzl6yi3gevcu7a2qfstqdomb4e