Mitral valve repair for mitral regurgitation in the elderly
高齢者 (70歳以上) における僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術の成績

Naoto Fukunaga, Yukikatsu Okada, Michihiro Nasu, Yu Shomura
2013 Shinzo  
背景 僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術は優れた短期・ 長期生存率を有する術式である.しかしながら,高齢 者は時に合併疾患や併施手術のために僧帽弁形成術 の適切な対象とみなされないこともある 1) .高齢者の 余命は短いとされながらも,僧帽弁形成術後の余命 の回復はそれを受けていないほかの高齢者や若年者に 等しいと報告されている 2) .高齢者に対する僧帽弁置 換術の成績をみると高い病院死亡率の報告が多い 3) . Mitral valve repair for mitral regurgitation in the elderly 神戸市立医療センター中央市民病院心臓血管外科 《Abstract》────────────────────────────────────── 背景:高齢化社会のわが国では退行性病変による心臓弁膜症が増加し僧帽弁逆流もその 1 つである.若年者では 遠隔生存率あるいは弁関連合併症の回避からみて弁形成術が推奨されているが,高齢者の治療成績は明らかとなって いない. 方法:1991年 1 月から2010年 4
more » ... 上の連続203例を対 象とした.平均年齢は74± 3 歳 (70-88歳) ,男性92例 (45%) で,85例 (42%) がNew York Heart Association functional class Ⅲ-Ⅳであった.僧帽弁逆流をCarpentier分類で分けるとtype Ⅰ 39例,type Ⅱ 134例,type Ⅲa 30 例でtype Ⅱ,いわゆる弁逸脱が66%であった.基本的にはCarpentierテクニックとePTFEによる人工腱索再建術, リングによる弁輪形成術によって僧帽弁形成術を行った.併施手術は147例 (72%) に行った.203例全例でフォロー アップは完了し平均追跡期間は4.7±3.7年であった. 結果:病院死亡は11例 (5.4%) 認め,そのうち 5 例は非心臓死であった.病院死を含む生存率,心臓死回避率は 5 年で85± 3 %,95± 2 %,10年で66± 6 %,82± 5 %であった.血栓塞栓症回避率は 5 年で87± 3 %であった. 心エコーフォローアップでは中等度以上の僧帽弁逆流回避率は 5 年で96± 2 %であり,再手術回避率 ( 5 年) は96± 2 %であった. 結論:僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術は高齢者においても遠隔成績が優れており,外科治療の 1 つの選択肢で ある.今回のわれわれの成績は日本の高齢者に対する僧帽弁形成術のbenchmarkになると考えられる. ─────────────────────────────────────────── 高齢者 (70歳以上) における僧帽弁逆流に対する 僧帽弁形成術の成績 • 僧帽弁逆流 • 僧帽弁形成術 • 高齢者
doi:10.11281/shinzo.45.413 fatcat:ywgin7m23rdnlazwusz3mmtuvu