世界に先駆けた日本発の革新的な製品の実用化に向けたPMDAの挑戦

近藤 達也
2014 Iryo To Shakai  
産官学シンポジウム講演録 255 白神 次はパネルディスカッションに移るわけ でございますけれども,先ほど申し上げましたよ うに,初めにパネラーとしてご参加いただきます 3名の方にスピーチをお願いしたいと思います。 初めに,官を代表して医薬品医療機器総合機構 理事長の近藤達也様からご発表いただきます。 近藤様は,1968年9月に東京大学医学部医学科 を卒業され,74年2月には東京大学脳神経外科の 助手,77年3月はマックス・プランク研究所に留 学され,78年3月から国立病院医療センターの脳 神経外科,89年7月には脳神経外科の医長,そし て2003年4月には国立国際医療センターの病院長 を務められ,2008年4月から現職になられておら れます。 それでは,近藤様,よろしくお願いいたします。 近藤 ご紹介ありがと うございます。冒頭, 「世 界に先駆けた日本発の革 新的な製品の実用化に向 け たPMDAの 挑 戦 」 と いうことでお話をさせて いただきますが,私の趣 旨は,どうやってそれを やっていくかというと,倫理観を持って産官学が 力を合わせていかなければならない,こういうこ
more » ... 前提にお話ししたいと思います。かつて大学 紛争の中で,産と学が力を合わせるというのはと んでもないという時代があったことが思い出され ます。つい最近まであった話なのです。ですから, いまだに学と産との接触に関しましてアレルギー がある方々は結構いるわけです。それが意外に日 本の産官学の発展を阻害していた要素かなと思っ ているところです。 しかしながら,これはタブーではありますけれ ども,挑戦していかなければならない。そのため には何をしなければいけないか。やはり倫理観だ ろう。倫理観は何か。国民のため,社会のために なることだったらどんどんやればいいわけであっ て,そうではない怪しげな目的のために組むとす ると問題になる。したがって,私はPMDAの理 事長をやるに当たって,それを心にしまして,レ ギュラトリーサイエンスをやる。レギュラトリー サイエンスというのは,倫理観のある科学であり ます。さまざまな科学がありますけれども,最悪 なのはマッドサイエンスです。ですから,科学で あれば何でもいいというのは大間違い。しっかり それを認識した上で行政をやっていかなければな らない。行政の科学として, 私は, レギュラトリー サイエンスは極めて有効な方法であると思うし, この世界においては非常に重要なことであろうと 思うところであります。 薬事についてです(資料4-1) 。私は第1条 を読んで非常に感動した。というのは,品質,有 効性,安全性の確保,これは外科医としても全く 同じだと。しかも,常に信頼性の確保が求められ る,確実にその成果を出していかなければならな い,これも全くそうだと思います。また,研究開 発を促進する,新しい医療をつくっていかなけれ ばならない。薬事の言っていることは,私たち医 者が考えていたことと全く一緒である。もともと 医療というのは,倫理なのです。患者さんのため にやっていた。そういう意味でいうと,薬事とい パネリストスピーチ 世界に先駆けた日本発の革新的な製品の実用化に向けたPMDAの挑戦 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事長 近藤 達也
doi:10.4091/iken.24.255 fatcat:jktky2dqlraudpj5l6hp34cnyi