輿 重治先生の業績を偲んで

2020 Journal of Occupational Safety and Health  
輿 重治先生は,令和元(2019)年 11 月 11 日に満 93 歳で逝去されました.ご長命の輿先生のご生涯は 大正,昭和,平成,令和と 4 つの元号の時代に亘っておられました.謹んで先生のご冥福をお祈りいたし ます. 輿先生は,日本の労働衛生工学の発展と労働衛生行政の向上に大きな足跡を残されました.研究では, 携帯型粉じん濃度測定装置(デジタル粉じん計)の開発や静電フィルターを用いた高性能防じんマスクの 開発などに大きな成果を挙げられ,更に,作業環境測定法を確立されて,労働衛生行政と協力してその法 制化と多数の作業環境測定士の養成を達成され,作業環境管理の向上に大きな貢献をされました. また,輿先生は産業医学総合研究所(現労働安全衛生総合研究所)の研究部長及び所長として研究予算 や業績の向上,スタッフや設備の充実に尽されるなど,実務面でも類まれな貢献をされました.さらに公 職を引退されてから亡くなる寸前まで四半世紀以上に亘って奥様の輿貴美子先生とご一緒に,労働衛生工 学会や日本繊維状物質研究協会等の毎年の研究発表会やセミナー等に出席され,また産業医学総合研究所
more » ... 究所の毎月のテクニカルミーティングにも欠かさず出席されて現役研究員の研究発 表を楽しまれるなど,正に労働衛生の発展・向上に捧げたご生涯でした. なお,筆者は,昭和 49(1974)年から平成 17(2005)年まで労働衛生研究所と産業医学総合研究所に 所属(職業病研究部及び作業環境計測研究部)して,アスベストやその代替繊維,結晶質シリカ等の測定 方法の研究や生体影響研究等に携わりました.その間,輿先生には多大なご指導を頂き,今回,弔辞を執 筆させて頂くことになりましたが,先生の膨大な業績を網羅することは難しく,至らぬ点はどうぞご容赦 をお願い致します. 輿先生は大正 15(1926)年 3 月 30 日に長野県松本市でお生れになり,昭和 19(1944)年に気象技術官 養成所を経て気象研究所に入所されました.戦時中気象研究所松本臨時出張所への転勤を経て,終戦後東 京に戻られ,大気気象における粉じんの研究を進められました.昭和 24(1949)年に厚生省国立公衆衛 特 別 寄 稿 輿 重治先生の業績を偲んで 神 山 宣 彦 労働安全衛生総合研究所フェロー研究員 輿 重治 先生
doi:10.2486/josh.josh-2020-002-to1 fatcat:fco6ihgqyfauzo2flfhi7m6k6e