Application of Noble Metal Nanoparticles to Point Colorants
貴金属ナノ粒子の塗料用色材への応用

Toshikatsu KOBAYASHI
2005 Hyomen Kagaku  
Highly concentrated pastes of Au and Ag nanoparticles were prepared by a novel method using a combshaped block copolymer and an amine as protective colloid and reducing agent, respectively. The nanoparticles were applied to paint colorants utilizing the surface plasmon light absorption. Au and Ag nanoparticles exhibited clear red and yellow colors , respectively. It was revealed that the nanoparticles possess aesthetic color properties such as transparency and color saturation as well as
more » ... nt weather durability. Further, a novel metal paint system was also developed from using the condensed Ag paste, which enables us to produce metal like coatings by a simple, dry and environmentally friendly process. 1.は じ め に ナノテクノロジーという言葉が当世大流行で,ユビキ タス,大容量メモリー,バイオチップなど様々な分野へ の応用が図られており,最先端テクノロジーの一翼を担 っている。一方で,古来よりナノ粒子は当事者が意識し ていたか否かは別にして,色材として伝統的に用いられ てきた。例えば,金ナノ粒子が水酸化スズのマトリクス 中に分散したものは,古来よりカシウスの紫と呼ばれ珍 重されている。また,中世教会建築のステンドグラス, ベネチアグラス,日本におけるガラス切子などでは,金 や銅のナノ粒子が赤色の色材として用いられており,特 に金ナノ粒子を用いた赤色ガラスは, 西洋では Gold ruby glass または Cranberry glass,日本では金赤ガラスと称さ れて珍重されている。 塗料産業では色材として有機顔料や無機顔料が現在用 いられているが,後述するように,有機顔料は彩度が高 いが耐候性が劣る,無機顔料は耐候性が良いが彩度が低 いという一長一短がある。金・銀ナノ粒子のプラズモン 着色では, 粒子径分布が均一という条件付きではあるが, 高彩度と高耐候性の両立が期待できるため,筆者らは, 金・銀ナノ粒子を塗料用色材として利用することを試み ている。また,塗料用色材として開発を進める中で,金 属濃度が非常に高いナノ粒子ペーストの調製が可能にな り,これを応用したメッキ調塗料も開発中である。本稿 ではこれら金・銀ナノ粒子を利用した塗料について紹介 したい。 2.塗料での使用を前提とした金・銀ナノ粒 子の調製 最初に,金や銀のナノ粒子を赤や黄色の色材として利 用することを試みた。このためには,いくつかの達成す べき課題がある。第一に,ガラスは少なくとも 1 mm 前 後の厚みを有しており,ナノ粒子のマトリクス中での濃 度が数十 ppm でも十分な着色が得られるが,一般的に 塗膜の厚みは数十 µm 以下であり,これを十分着色する ためには,少なくとも 1 % 前後の膜中濃度が必要であ る。さらに,通常の塗料製造工程では,顔料を濃厚に含 有する着色ペーストを先に作製し,これを塗膜物性や基 材への密着性などを司る樹脂で希釈して塗料が生産され るが,金や銀のナノ粒子をこれら着色ペーストと同等に 製造工程で取り扱うためには,数十%の高濃度ナノ粒子 ペーストを調製する必要がある。第二に,表面プラズモ ンの光吸収波長はナノ粒子の粒子径に依存することか ら,光吸収曲線のシャープさ(色の鮮やかさ)を得るた めには,粒子径分布をシャープにする必要がある。第三 に,塗料ではマトリクス成分として,ポリエステル,ア クリル,ウレタン,エポキシなどの高分子やオリゴマー が用いられ,さらに,芳香族炭化水素,ケトン,エステ ル,アルコール,水と広範囲な溶剤が用いられる。ナノ 粒子ペーストをこれらに混合・溶解したときに,凝集や 相分離などを起こさないような安定性が必要である。 41
doi:10.1380/jsssj.26.107 fatcat:ow3a2fp2jnggviouoq4zb4g3ku