Study on Comparison of Bidding and Pricing Behavior Distinction between Estimate Methods

Emi MORIMOTO, Susumu NAMERIKAWA
2011 Journal of Japan Society of Civil Engineers Ser F4 (Construction and Management)  
受注者の利益は落札価格と自社施工価格の差であるが,近年は低入札価格調査基準直 上への落札が増えている。そのため官積算である低入札価格調査基準と自社施工価格 の差が受注者の利益になる状態が続いている。我が国の官庁契約では発注者が積上げ 積算またはユニットプライス型積算で算出した予定価格に対して,応札者が自社のコ スト等を見積り,入札価格を決定する。現状のように応札価格が低入札調査基準に集 中している建設市場環境では,官積算と応札者の入札価格は不可分の関係にある。本 研究は,積上げまたはユニットプライスのいずれかの積算方式によって算出された予 定価格のうち,一般土木を対象に入札結果の比較分析を行った。入札値分布を価格決 定行動,応札者数を入札参加行動として,積算方式の違いがこれらに及ぼす影響を分 析した。入札値分布の比較では,2007年度にユニットプライス型積算に見られた,低 価格入札を抑制している可能性が見られなくなった。さらに規模の大きいユニットプ ライス型積算工事では,積上げ積算に比較してより低入札価格調査基準に集中して応
more » ... ットプライス型積 算工事の方が有意に多くなる傾向が示された。積上げ積算よりも,価格競争状態の厳 しいユニットプライス型積算工事への入札を応札者が選択している様子が明らかにな った。積算方式の違いは,建設企業が入札参加/不参加を決める要因として働いてい る可能性がある。 【キーワード】ユニットプライス型積算,入札参加,価格決定 1.はじめに 2004 年度から試行が開始されたユニットプラ イス型積算方式は,受注者と発注者がユニット 毎に合意した単価をデータベース化し,次年度 以降の積算用データとして利用するものであり, 以下の 6 つの導入効果があると言われている 1) 。 ①積算価格の的確性,市場性の向上②積算業務 の合理性③契約上の協議の円滑化と双務性の向 上④請負者の有する技術力の活用促進⑤工事目 的物と価格の明確化⑥合理的な下請け価格の形 成。2008 年度(平成 20 年度)には,発注件数の 約 10%(1,076 件/10,964 件)で実施されている。 一方で,我が国の官庁契約では,諸外国と異な る積上げ積算方式が一般的に用いられてきた。 そのため,工事毎に発注者が予定価格を算出す る積算方式(プロセス)が異なっている。また, 国土交通省発注工事の入札方式は,政府調達 (WTO)を一般競争入札の対象としながらも, 指名競争入札を軸とした改善を行ってきた。し かし,近年では 2005 年度に発生した橋梁談合を はじめとする首長らの公共工事を巡る汚職への 対応として,国土交通省発注工事は一般競争入 札+総合評価方式が原則と広く認識されている。 このような変化の中で,入札に参加する価値が ある工事かどうかの見極めも,企業経営の重要 な意志決定の 1 つとなっている。一般競争入札 +総合評価方式の入札に参加すると言うことは, 事前の技術評価の資料作成,当該工事の自社積 * 1 ソシオテクノサイエンス研究部
doi:10.2208/jscejcm.67.i_315 fatcat:joo4qoiujbfupi7fa3m6utrevi