障害福祉分野におけるコミュニティ・ ソーシャルワークに関する考察 : 障害者総合支援法を題材に

野田 秀孝, 後藤 康文
Ⅰ はじめに 我が国のソーシャルワークは,1 9 9 0 年代の社会 福祉基礎構造改革から,大きな転換期を迎えている。 従来の,社会福祉の各法による属性や課題に個別的 に対応する方法から,地域を基盤とする総合的かつ 包括的な方法への転換であるといえる。 従来の各法における社会福祉の実践では,入所施 設における処遇を中心に社会福祉実践が行われてお り,地域を基盤とした社会福祉実践は重要視されて こなかった。 制度的には,介護保険制度における地域包括支援 センターなどにおける相談支援・支援事業や障害者 自立支援制度における障害者の地域移行事業,相談 支援事業などであり,児童,高齢者,障害者領域で の虐待防止などで,市町村を核とし,より小さな単 位である地域において,地域住民を巻き込んだ形で の支援体制の強化・充実が重要視されている。 このような社会福祉の変化を野口は, 「1人の生 活課題を解決するために,または生活問題を持って いる多くの人びとの生活問題を解決するために,ケー スワーク,グループワーク,コミュニティワークの 理論を個別に用いても問題はなかなか解決しない。
more » ... なかなか解決しない。 問題解決のためには,これらの技術を総動員・駆使 して援助にあたる必要がある。このことは,従来の 社会福祉援助技術体系としての,ケースワーク,グ ループワーク,コミュニティワークの 3分類から 個人と地域の生活問題・福祉問題を解決していくコ ミュニティ・ソーシャルワークという総合的な体系 への転換が必要であることを示唆している」 (野口 2 0 0 8 :1 6 5 )とし,社会福祉援助技術に対しても その転換の必要性を指摘している。 障害者施策は,このような施設福祉から地域福祉 への施策の移行が身体障害者と知的障碍者の支援費 制度から精神障害者も加えた自立支援制度の変遷と ともに,近年著しい変化の中にある。 本稿では障害福祉分野の施策である援費制度,障 害者自立支援法,障害者総合支援法といった各法制 度の成立背景や法のねらいに焦点をあて,制度的ソー シャルワークの機能や課題について述べ,コミュニ ティ・ソーシャルワークについて考察する。 Ⅱ コミュニティ・ソーシャルワークの 意義と機能 コミュニティ・ソーシャルワークは,イギリスに おいて,1 9 6 0 年代からの社会福祉援助方法論の専 門分化とシーボーム改革と呼ばれるコミュニティケ ア政策の拡充の中から,コミュニティワークの概念 が確立され,従来のアメリカで生まれたコミュニティ・ -1 1 7-人間発達科学部紀要 第 8 巻第 1号:1 1 7 -1 2 7 (2013) 障害福祉分野におけるコミュニティ・ ソーシャルワークに関する考察 -障害者総合支援法を題材に-野田 秀孝,後藤 康文* C o n s i d e r a t i o na b o u tt h ec o mmu n i t ys o c i a l wo r ki n d i s a b l e dp e r s o n ss u p p o r t -S u b j e c tt oS e r v i c e sa n dS u p p o r t sf o rP e r s o n swi t hDi s a b i l i t i e sAc t -Hi d e t a k aNODA Ya s u f u mi GOTOU E -ma i l : n o d a @e d u . u -t o y a ma . a c . j p , y a s u g o t o @mu a . b i g l o b e . n e . j p キーワード:コミュニティ・ソーシャルワーク,障害者総合支援法 k e y wo r d s :c o mmu n i t ys o c i a l wo r k ,S e r v i c e sa n dS u p p o r t sf o rP e r s o n swi t hDi s a b i l i t i e sAc t * 富山大学 非常勤講師
doi:10.15099/00000857 fatcat:7piy4cj655cgjhisg6rnpv2g2m